2013/2/11

総合 –EUウオッチャー

ECB総裁がユーロ高加速を警戒、「動きを注意深く監視」

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は7日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を現行の年0.75%に据え置くことを決めた。金利据え置きは7カ月連続。一方、ドラギ総裁はユーロ高の進行について「動きを監視し […]

欧州中央銀行(ECB)は7日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏17カ国に適用される最重要政策金利を現行の年0.75%に据え置くことを決めた。金利据え置きは7カ月連続。一方、ドラギ総裁はユーロ高の進行について「動きを監視していく」と述べ、警戒感を示した。

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金利据え置きは予想通りで、市場では為替水準に関するドラギ総裁の発言に注目が集まっていた。欧州債務危機が落ち着き、米経済の復調、日本の金融緩和もあってユーロが対ドル、円で上昇していることについて、ユーロ圏の輸出を圧迫するとの懸念が浮上しているためだ。仏オランド大統領が5日に欧州会で行った演説で、ユーロ高の加速によってユーロ圏経済の競争力が損なわれるとして、「ユーロ圏は為替の政策を持たねばならない」と述べたことも背景にある。

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ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、ユーロ高について「ユーロへの信頼が回復している兆しだ」とした上で、現行のユーロ相場は長期平均とほぼ同水準であることを強調。さらに「為替は(ECBの)政策目標ではない」と述べ、中立的な姿勢を示した。ただ、「為替は成長、物価安定にとって重要だ」として、「金融市場の動きを注意深く監視していく」と述べ、必要に応じて追加利下げなどの対応をとる用意があることを示唆した。

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ドラギ総裁は昨年12月、ユーロ圏の景気見通し悪化を受けて、追加利下げの可能性を示唆したが、1月には金融市場の改善などに言及し、利下げに消極的な姿勢に転換。これがユーロ高を加速させる一因となった。市場は今回の発言をユーロ高に歯止めをかけるための「口先介入」との見方が出ており、同日の外国為替市場ではユーロが対ドル、円で値下がりした。

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