2013/2/25

産業・貿易

バーゼルIII関連法の議論が平行線、欧州議会と加盟国の溝埋まらず

この記事の要約

EU加盟国と欧州議会の代表は19日、国際的な銀行資本規制「バーゼルIII」の実施に向けたルールづくりについて協議したが、銀行員に対する報酬規制や財務情報の開示義務などをめぐって調整がつかず、議論は平行線をたどった。双方は […]

EU加盟国と欧州議会の代表は19日、国際的な銀行資本規制「バーゼルIII」の実施に向けたルールづくりについて協議したが、銀行員に対する報酬規制や財務情報の開示義務などをめぐって調整がつかず、議論は平行線をたどった。双方は今月27日に改めて協議を行い、最終合意を目指す方針を示している。

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報酬規制をめぐっては、短期の業績に連動した高額報酬制度がトレーダーなどのリスク行動を助長し、金融危機が拡大する要因になったとの批判を受け、EUは2年前、各行が現金で即時支給する賞与(ボーナス)の割合を最大30%(高額賞与の場合は20%)に制限することなどを柱とする報酬規制を導入した。しかし、固定給とボーナスの比率についてはEU共通の上限を設ける案が見送られ、現在は各行が独自に賞与の上限を設定することになっている。この点をめぐり、固定給を超えるボーナスの支給禁止を求める欧州議会と、国際競争力の観点から厳格な規制に難色を示す加盟国の間で調整が難航。昨年12月には原則として賞与の上限を固定給と同額に制限したうえで、株主の承認があれば固定給の最大2倍まで支給を認めるとの譲歩案で基本合意したものの、報酬規制による人材流出を懸念する英国の強い反対で最終合意には至っていない。

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このほか今回の協議では、銀行に対する財務情報の開示義務に関しても欧州議会と加盟国の溝が埋まらなかった。欧州議会は銀行経営の透明性を高めるため、複数の国で事業展開している大手行に対し、国ごとに収益や納税額の報告を義務付けることを提案しているが、銀行側は会計処理方法を根本的に変えなければならないなどと猛反発。加盟国もバーゼルIIIの実施を優先させるため、財務情報の開示ルールは銀行資本規制と切り離して議論すべきだとの立場を示している。

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