2013/4/29

産業・貿易

欧州議会貿易委が対米FTA交渉開始を承認、文化などの聖域扱い条件に

この記事の要約

欧州議会の国際貿易委員会は25日、米国との自由貿易協定(FTA)締結に向け、早期の交渉開始を支持するとの決議案を賛成多数で可決した。ただし、フランスなどが米国の映画やテレビ産業が欧州で支配力を強める事態に対する警戒を強め […]

欧州議会の国際貿易委員会は25日、米国との自由貿易協定(FTA)締結に向け、早期の交渉開始を支持するとの決議案を賛成多数で可決した。ただし、フランスなどが米国の映画やテレビ産業が欧州で支配力を強める事態に対する警戒を強めていることから、文化関連や視聴覚サービスを“聖域”交渉から外すことを条件としている。決議案は5月に欧州議会本会議で採決される見通しだ。

\

EUは米側との交渉にあたる欧州委員会の現体制が任期満了となる2014年10月末までの妥結を目指しており、EU議長国アイルランドは6月の貿易相理事会で交渉開始を正式決定したい意向を示している。しかし、今月18日に開かれた非公式貿易相会議では、フランスが自国文化を保護する観点から、映画などの視聴覚サービスを交渉から除外すべきだと主張。ブリック仏貿易相は「文化的領域を協定から除外することが対米交渉の必須条件だ」と述べ、視聴覚サービスの例外措置が認められない場合は交渉開始を阻止すると警告していた。

\

国際貿易委では文化および視聴覚サービスを交渉から除外するとの条件を盛り込んだ決議案が賛成多数(賛成14、反対11、棄権5)で可決された。決議案にはこのほか、農産品および食品の地理的表示(GI)を含む知的財産権や個人情報が引き続き「高い水準で保護されなければならない」との文言が盛り込まれている。さらに遺伝子組み換え作物(GMO)やクローン技術などに関する欧米間の意見の相違によって、EUの「予防原則」が損なわれることがあってはならないと指摘している。

\