2013/4/29

総合 –EUウオッチャー

スペインが赤字削減目標達成を2年先送り、景気悪化を考慮

この記事の要約

スペイン政府は26日発表した経済・財政計画で、財政赤字をEUの財政規律で上限となっている国内総生産(GDP)比3%以下に抑える目標の達成時期を2年先送りし、2016年とする方針を打ち出した。景気低迷が深刻化していることか […]

スペイン政府は26日発表した経済・財政計画で、財政赤字をEUの財政規律で上限となっている国内総生産(GDP)比3%以下に抑える目標の達成時期を2年先送りし、2016年とする方針を打ち出した。景気低迷が深刻化していることから、財政緊縮をペースダウンする必要があると判断したもの。EUの欧州委員会は同日、目標修正を認める意向を表明した。

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スペイン経済は2008年の不動産バブル崩壊を機に悪化し、5年連続でマイナス成長となっている。財政赤字削減に向けた緊縮策が景気悪化を加速させているという面があり、失業率は26%超と域内最悪の水準にある。こうした状況が財政をさらに圧迫するという悪循環に陥っており、昨年の財政赤字は目標だったGDP比6.3%を大きく上回る同10.6%まで拡大(後続記事参照)。経済・財政計画では2013年の予想成長率を当初のマイナス0.5%から同1.3%に下方修正した。

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スペイン政府はこうした悪循環を断ち切るには、財政再建のペースを緩める必要があると判断。赤字削減目標の達成を2年先送りすることを決めた。経済・財政計画では、財政赤字を13年にGDP比6.3%、14年に5.5%、15年に4.1%まで削減し、16年に財政規律の上限を下回る2.7%に圧縮するという目標を打ち出した。これによって2014年には0.5%のプラス成長に転換すると見込んでいる。

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欧州委は声明で、スペインの赤字削減先送りについて、厳しい経済環境を考慮して容認する姿勢を表明。スペインの経済・財政計画を検証した上で、5月29日に正式承認の可否を判断することを明らかにした。

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