2014/3/3

産業・貿易

漁業規制めぐるフェロー諸島との紛争、WTOがパネル設置

この記事の要約

デンマークの自治領であるフェロー諸島が、ニシン、サバの漁業規制をめぐって対立するEUが発動した制裁措置を不当として世界貿易機関(WTO)に提訴している問題で、WTOは2月26日、紛争処理小委員会(パネル)の設置を決めた。 […]

デンマークの自治領であるフェロー諸島が、ニシン、サバの漁業規制をめぐって対立するEUが発動した制裁措置を不当として世界貿易機関(WTO)に提訴している問題で、WTOは2月26日、紛争処理小委員会(パネル)の設置を決めた。これによって同問題は本格的な紛争に発展した。

EUとフェロー諸島、ロシア、ノルウェー、アイスランドは大西洋北東海域のニシン漁について、協議の上で漁獲枠を設定し、昨年末まで同合意を順守することを取り決めていた。しかし、フェロー諸島が自国水域におけるニシンの生息数が増加したことを理由に合意を一方的に破棄し、2013年の漁獲枠を12年比で145%引き上げたため、EUが反発。欧州委員会は8月、制裁としてニシン、サバや、それらを使った加工食品の輸入禁止と、フェロー諸島の水域でニシン、サバ漁を行う漁船がEU内に入港することを禁止する措置を発動した。

これに対してフェロー諸島は、EUの制裁発動を「威圧的」と批判。EUは漁業資源の保全をアピールしているが、実際は域内の漁業者を保護するもので、WTO協定に反すると主張し、11月に提訴していた。

EUとフェロー諸島は、WTOの紛争処理手続きの第一段階とて当事者間協議を行ったが、解決に至らなかったため、フェロー諸島がパネル設置を要請。これがWTOに受理された。