2020/11/4

総合・マクロ

スロバキアが新型コロナの大規模抗原検査を開始、国民の75%対象に

この記事の要約

スロバキア政府が10月30日、国民の約4分の3を対象とする新型コロナ抗原検査を開始した。同検査は10歳以上の全国民を対象とする世界でも初の大規模なもの。感染者が急増する中、本格的なロックダウン導入の回避に向け陽性者の自己 […]

スロバキア政府が10月30日、国民の約4分の3を対象とする新型コロナ抗原検査を開始した。同検査は10歳以上の全国民を対象とする世界でも初の大規模なもの。感染者が急増する中、本格的なロックダウン導入の回避に向け陽性者の自己隔離を徹底する狙いがある。30日、11月1日の週末に加え、6~8日にも検査を実施する。

対象となるのは10歳から65歳までの約400万人。4万人以上の医療従事者や軍関係者を約5,000カ所の検査場に配置し、検査料は政府の負担で行う。受検は任意とされるが、陰性の証明がない者は陽性者と同じく10日間の自宅待機が義務付けられる。規則を破り外出した場合は高額の罰金刑を受ける。

ただ、抗原検査の精度はPCR検査に大きく劣る。このため、人権擁護者として知られるチャプトヴァー大統領は「(精度が不十分な)『通行手形』で国民をふるい分ける措置」と批判している。一方、大規模検査の実施を指揮するナド防衛相は、流行を広げないためには「ほかに手がない」と心情を語る。

政府は10月初めに緊急事態を宣言。これまでに、公共の場におけるマスク着用義務や飲食店の営業制限、深夜・早朝の外出禁止といった措置が導入されている。ただ、感染者が急速に増えており、追加対策なしには今月中旬にも病院が満床になると推測される。

抗原検査はウイルス特有のタンパク質、PCR検査は遺伝物質を見つけることで、感染・非感染を特定する。PCR検査は90%の高精度を誇るが、臨床検査技師が専用機器を用いて検査を行う必要があり、結果がわかるまでに最低数時間かかる。一方で抗原検査は精度こそ70%と低いが、専門家の手をわずらわさず15~30分で判定が出るのが大きな利点だ。

■チェコでは夜間外出禁止令が発動、新型コロナの感染拡大を受け

チェコで10月27日、夜間外出禁止令が発動した。新型コロナの新規感染者数の増加に歯止めがかからないためだ。政府は「私的な集まりを防ぐ狙い」と説明しており、通勤など特別な理由がない限り、21時から5時まで外出が禁止される。同措置は当面、11月3日までの予定で実施される。

チェコは感染の再拡大を受け、すでに10月初めに緊急事態を宣言した。マスクの着用義務強化や飲食店の営業禁止、学校閉鎖、食料品・日用品店と薬局を除く小売・サービス店舗の営業停止など、段階的に制限措置を拡大してきた。それでも感染の抑制にはつながらず、人口比の新規感染者数は欧州連合(EU)加盟国で最悪のレベルとなっている。