2010/1/11

環境・通信・その他

G20でポスト議定書の枠組み形成へ、EUが国連重視から戦略変更か

この記事の要約

EUのファンロンパイ大統領と欧州委員会のバローゾ委員長、議長国スペインのサパテロ首相は8日、マドリードで会談し、地球温暖化対策への取り組みについて協議した。会談では昨年末にコペンハーゲンで開かれた気候変動枠組み条約第15 […]

EUのファンロンパイ大統領と欧州委員会のバローゾ委員長、議長国スペインのサパテロ首相は8日、マドリードで会談し、地球温暖化対策への取り組みについて協議した。会談では昨年末にコペンハーゲンで開かれた気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)で参加国の利害対立から具体的な成果が得られなかった経緯を踏まえ、今後は20カ国・地域(G20)主導でポスト京都議定書の枠組み形成を目指すべきだとの意見が出たもようだ。2月11日に開くEU特別首脳会議で今後の対応について協議する。

\

バローゾ委員長は会談後の会見で、気候変動問題がEUにとって引き続き最優先課題だとしたうえで、「国際社会がより野心的な目標で合意できるよう、(今年11月にメキシコで開かれる)COP16までに意思決定の仕組みを見直すべきだ」と強調した。一方、ファンロンパイ大統領は「EUの存在がなければコペンハーゲンでの成果はより乏しいものに終わっただろう。具体的な成果を得るための方法はいろいろあり、悲観的になる必要はない」と述べ、引き続きEU主導で国際的な議論を進めたい考えを示した。

\

これに対し、スペインのモラティノス外相は「EUは交渉戦略を見直す必要がある」と発言。具体的な内容には触れなかったが、AP通信がスペイン政府関係者の話として伝えたところによると、EU内部では200近い国が参加する国連の枠組みではなく、日米欧など先進国と中国やインドなど新興国で構成するG20での交渉を優先させる方向で合意が形成されつつあるもようだ。

\

EUはCOP15で米国をはじめとする他の先進国からEUと同等の温室効果ガス削減目標を引き出したうえで、2020年までの中期削減目標を「1990年比20%」から「30%」に引き上げる戦略だった。しかし、実際には新興国や途上国による激しい駆け引きの間で埋没する形になり、存在感を示すことができなかった。こうした反省を踏まえ、多くの国が参加するCOPよりもG20での合意を目指す方が現実的との判断に傾いたものとみられる。

\