2010/3/1

産業・貿易

欧州委がクロマグロの取引禁止を提案、加盟国による承認の公算大

この記事の要約

欧州委員会は2月22日開いたEU農業相理事会で、大西洋産と地中海産のクロマグロの国際取引禁止を支持するよう加盟国に提案した。個体数の推移などに関する最新のデータを検証したうえで、今月カタールで開かれるワシントン条約締約国 […]

欧州委員会は2月22日開いたEU農業相理事会で、大西洋産と地中海産のクロマグロの国際取引禁止を支持するよう加盟国に提案した。個体数の推移などに関する最新のデータを検証したうえで、今月カタールで開かれるワシントン条約締約国会議(CITES)までにEUとしての立場を決定する。現時点で取引禁止に反対している国はマルタやキプロスなどごく一部にとどまり、最終的に禁止案が承認される公算が大きい。

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CITESでは大西洋と地中海産のクロマグロをワシントン条約の「絶滅の恐れがある生物」に指定し、国際取引禁止を求めるモナコの提案が中心的な議題となる見通し。大西洋・地中海産クロマグロはこの10年間で個体数が約80%減少しており、早急に対策を講じなければ絶滅の恐れがあるとされる。欧州委は昨年9月にもモナコ案を支持するよう加盟国に提案したが、漁業国の反対で否決された経緯がある。しかし、クロマグロの主要な水揚げ国であるイタリアやフランスが方針転換し、現在は取引禁止の支持派が多数を占めている。欧州議会も先月、国際取引禁止をEUとして支持するよう求める決議を採択していた。

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欧州委は漁業関係者への影響に配慮して、国際取引の禁止にあたり、伝統的な漁法による近海での漁を例外的に認め、国内での取引を容認すること提案している。また、取引禁止の施行まで最大1年の猶予期間を設け、CITESの常設委員会が最新の科学データを基に最終判断するよう求めている。

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ワシントン条約では有効投票の3分の2以上の賛成で提案が採択される。ただし、締約国は特定の動植物について「留保」の手続きを取ることができ、非締約国として取引の継続が認められる。取引を継続したい日本は漁獲量の調整による資源保護が可能と主張しており、来月のCITESでモナコ案が採択された場合、留保の手続きを取る方針を示している。

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