2010/3/22

環境・通信・その他

欧州の自然破壊進行、チョウなどに絶滅危惧種も=国際自然保護連合

この記事の要約

国際自然保護連合(IUCN)は16日に発表した「絶滅の恐れのある生物種のリスト」(レッド・リスト)の最新版で、欧州では気候変動や人間の活動による自然環境の破壊が進んでおり、域内を生息域とするチョウ、甲虫、トンボなどの一部 […]

国際自然保護連合(IUCN)は16日に発表した「絶滅の恐れのある生物種のリスト」(レッド・リスト)の最新版で、欧州では気候変動や人間の活動による自然環境の破壊が進んでおり、域内を生息域とするチョウ、甲虫、トンボなどの一部の種が絶滅の危機に瀕していると警告した。

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IUCNによると、欧州に生息するチョウ435種のうち、31%は個体数が減少しており、9%はすでに絶滅の危機にある。絶滅が危惧される種の多くは南欧に生息するもので、たとえばポルトガル領マデイラ諸島に生息するオオモンシロチョウの一種は過去20年間観測されておらず、深刻な絶滅の危機にさらされているか、あるいはすでに絶滅した可能性があるという。チョウは生態系において、授粉媒介者として重要な役割を果たしている一方、気候変動のほか耕作地の移動などによる自然環境の変化、森林火災、観光の影響などにより生息地の減少に直面している。

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また、IUCNは今回初めて、腐木食甲虫についての調査結果も発表した。対象とした431種のうち3分の1が欧州のみに生息する種で、その約11%(46種)に絶滅の危険性があるという。また、世界的には全体の7%(29種)に、地球上からその姿が失われる可能性がある。腐木食甲虫は生態系において、栄養素を再生するという重要な役割を担っているが、主に伐採による成木の減少に影響を受けている。

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トンボは調査した130種のうち、14%が危機的状態にあるとされた。絶滅の恐れがあるのは欧州に生息する種のうち11%、世界的には5%となっている。トンボの個体数の減少は、猛暑が続いていること、飲料水および灌漑用に抽出される水量が増加していることなど、淡水資源の枯渇が主な原因とされる。

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IUCNは欧州委員会の委託により、欧州を生息域とする6,000種について調査を行った。対象はチョウなどのほか、哺乳類、爬虫類、両生類、淡水魚、軟体動物、維管束植物など。そのほか世界各地に生息する生物47,000種について調査している。欧州委は現在、今年10月に名古屋で開催される生物多様性条約第10回締約国会議に向けて、生物多様性の低下を阻止するための新たな国際目標の設定を目指し、地域としての取り組みを進めている。

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