2010/3/22

環境・通信・その他

EUの技術革新、日米との格差が拡大

この記事の要約

欧州委員会は17日公表したEUと域外諸国のイノベーション(技術革新)の進展度を比較する報告書「2009年欧州イノベーション・スコアボード(EIS)」で、EUと米国や日本との差が再び開いたうえ、中国が急速に追い上げていると […]

欧州委員会は17日公表したEUと域外諸国のイノベーション(技術革新)の進展度を比較する報告書「2009年欧州イノベーション・スコアボード(EIS)」で、EUと米国や日本との差が再び開いたうえ、中国が急速に追い上げているとして危機感を示した。これまでEUのイノベーションは着実に前進していたが、経済危機の影響で後退した形だ。

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EISは2007年と2008年のデータをもとに、企業や公的な研究開発費、特許登録数、IT支出額、科学・技術系の大学卒業生数・博士号取得者数など29の基準から各国の状況を指標化して順位を出している。対象国はEU27カ国のほかクロアチア、セルビア、トルコ、アイスランド、ノルウェー、スイスで、米国や日本のほか中国、ロシア、インド、ブラジルの新興国と比較している。

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報告書によれば、EUは日米と比べてイノベーションで後れを取っていることが以前から問題視されていたが、その格差は一段と広がっている。また、現在はなお新興国を大きく引き離しているものの、中国はIT支出額ではEUを上回るなど急速に差を縮めており、10年ほどで追いつかれる可能性があるとしている。

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EU内の各国は進展度で4グループに大別される。米日に対抗できる先頭グループ5カ国のうちドイツ、フィンランドは大きく前進し、これにスウェーデンが続くがデンマーク、英国は停滞している。第2グループはオーストリア、ベルギー、フランス、オランダ、アイルランドなどで、2008年からはエストニアやスロベニア、キプロスがこれに加わった。中位グループはイタリアやスペインなど南欧諸国とチェコ、ハンガリー、ポーランドといった中東欧諸国が多い。EUの平均を大きく下回るのはブルガリア、ラトビア、ルーマニアだが格差は急速に縮小しているという。

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