2010/4/26

産業・貿易

銀行取引データめぐる米との協定、加盟国が欧州委への権限付与で合意

この記事の要約

EU加盟国は23日開いた司法・内務相理事会で、米国が進めるテロ対策を支援するための金融取引情報の提供に関する新たな協定の締結に向け、欧州委員会に交渉権限を付与することで基本合意した。5月10日に開く外相理事会で正式に承認 […]

EU加盟国は23日開いた司法・内務相理事会で、米国が進めるテロ対策を支援するための金融取引情報の提供に関する新たな協定の締結に向け、欧州委員会に交渉権限を付与することで基本合意した。5月10日に開く外相理事会で正式に承認する。欧州委のマルムストロム委員(内務担当)は5月中に米側と予備交渉に入り、6月末までに協定案をまとめたい考えを示している。

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米国は2001年の同時多発テロ以降、テロ資金根絶に向けた取り組みを強化しており、ベルギーに本部を置く国際銀行間通信協会(SWIFT)は米財務省の求めに応じて顧客の氏名、口座番号、受取人の氏名、送金の額や目的といった情報を提供してきた。しかし、EU内では加盟国の同意を得ずに個人情報が米国に提供されることへの反発が根強く、昨年末にSWIFTのメインサーバーが米国から欧州に移転するのを機に、EUと米国の間でデータ利用の条件などについて協議が行われた。

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EU加盟国と米国は昨年11月、SWIFTが米側に提供するデータはテロ活動への関与が疑われる人物に関する情報に限定するなどの条件をつけたうえで、有効期限を9カ月とする暫定的な協定の内容で合意。しかし、欧州議会は2月、「個人情報保護の原則に反する」として暫定合意を否決した。このため米国はSWIFTのデータにアクセスできない状態が続いており、テロ対策に深刻な影響が出るとしてEUの対応を強く非難している。

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司法・内務相理は今後の交渉にあたり、個人情報保護対策を強化する必要があるとの認識で一致。欧州委に対し◇米当局は加盟国の裁判所の許可を得て必要なデータを取得する◇個人情報保護ルールが順守されない場合、EU加盟国は協定を破棄することができる◇将来EUが独自にテロ資金根絶のためのプログラムを創設した場合、米国が保有するデータへのアクセスを認める――などを主張するよう求めた。

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