2010/4/26

競争法

垂直的制限行為の競争法適用除外で新ルール、ネット販売急増など反映

この記事の要約

欧州委員会は21日、EU競争法が禁止する垂直的制限行為(メーカーと販売業者による協定)の一括適用除外に関する新たな規則を採択した。適用除外を認めるための条件を定めた1999年の現行規則が5月末に失効するのに合わせ、オンラ […]

欧州委員会は21日、EU競争法が禁止する垂直的制限行為(メーカーと販売業者による協定)の一括適用除外に関する新たな規則を採択した。適用除外を認めるための条件を定めた1999年の現行規則が5月末に失効するのに合わせ、オンライン販売の急増など過去10年間の市場環境の変化を反映させたルールを新たに導入する。新規則は6月1日から施行され、1年間の移行期間を経て2022年まで適用される。

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EU競争法はメーカーと販売業者など、販売ルートの上流と下流に位置する事業者間の協定を禁止している。この垂直的取引制限には両者の間で販売業者が一般の顧客に製品を販売する際の価格を取り決めたり、メーカーが販売業者の営業地域や顧客を制限するといった行為が含まれる。しかし、EUは競争力の弱い中小企業が厳格な規制によって過度の負担を強いられることのないよう、一定の条件を満たした場合に事業者間の協定を認める例外規定を定めている。

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欧州委は現行規則の基本的な枠組みは維持したうえで、オンライン取引の拡大や流通業界の再編といった市場の変化に合わせた内容に修正すべきだとの認識に立ち、昨年7月に一括適用除外規則の改正案を発表。意見募集で寄せられた各方面からの反応を踏まえて最終案を採択した。

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新規則によると、メーカーは引き続き製品の販売方法や販売ルートなどを自由に決めることができるが、従来からの条件である供給側の市場シェアが30%以下であることに加え、同時に販売業者のシェアも30%を超えないことが適用除外を認めるための条件となる。これは流通業界の再編が加速し、一部の販売業者の市場支配力が強まったことが背景にある。一方、オンライン販売との関連では、サプライヤーに認定された販売業者はウェブサイトを通じて自由に販売活動を展開することができ、メーカーがネット販売される製品の供給量を制限したり、卸価格を引き上げることは禁止される。ただし、消費者が実際に商品を手にとって購入を検討できるよう、メーカーが実店舗を持つ販売業者とのみ取引を行うことは引き続き可能だ。

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