フィンランドで4月17日に実施された議会選挙で、反EUを打ち出す右派政党「真のフィンランド人」が第3党に躍進し、連立政権入りが濃厚な情勢となっている。同党は財政危機に陥っているポルトガルに対するEUの緊急金融支援に反対しており、早期実施が求められる同支援に暗雲が漂ってきた。
\真のフィンランド人は議会定数200のうち39議席を獲得。選挙前の5議席から大幅に勢力を拡大した。キビニエミ首相率いる中道右派の中央党は16議席減の35議席で、第4党に転落。中央党と連立政権を組んできた穏健保守の国民連合が6議席減ったものの、44議席を確保し、第1党となった。中道左派の社会民主党は42議席で、第2党に浮上した。
\EUは4月8日、金融支援を要請したポルトガルに国際通貨基金(IMF)と共同で緊急融資を実施することで合意。支援規模は800億ユーロに上る見通しだ。フィンランド政府はユーロ圏の一員として、約80億ユーロを負担する方針を示していた。これに対して、真のフィンランド人は、ポルトガルの放漫財政のツケをフィンランド国民が払わされるのはおかしいとして、選挙前から同支援を阻止する姿勢を鮮明にしていた。
\第1党となった国民連合はポルトガル支援を支持している。次期首相就任が確実視される同党党首のカタイネン財務相は、真のフィンランド人、社会民主党と連立協議を進める見込み。協議ではポルトガル支援が大きな焦点となるが、真のフィンランド人に加え、社会民主党も反対はしないとしながらも条件の見直しを求めており、調整の難航は必至だ。連立がまとまったとしても、支援計画が変更される可能性がある。また、真のフィンランド人が政権入りしない場合、支援に関する議会の承認手続きが遅れるのは避けられない。この場合、EUはフィンランド抜きでポルトガル支援に踏み切る可能性がある。
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