2011/7/11

総合 –EUウオッチャー

格付け会社への批判高まる、ポルトガル格下げで

この記事の要約

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスによるポルトガルの信用格付け引き下げが波紋を呼んでいる。EU内では、格下げは信用不安をあおり、EUが進める債務国救済の努力に水を差すとして非難する声が続出。国債の信用力が […]

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスによるポルトガルの信用格付け引き下げが波紋を呼んでいる。EU内では、格下げは信用不安をあおり、EUが進める債務国救済の努力に水を差すとして非難する声が続出。国債の信用力が格付け会社の評価に左右される現状を打破するため、格付けの規制など対抗策の導入も辞さない構えだ。

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ムーディーズは5日、ポルトガルが再び金融支援を受ける可能性が高まっていることなどを理由に、同国の国債の格付けを投機的水準となる「Ba2」に4段階引き下げ、格付け見通しを「ネガティブ」とした。ユーロ圏の国で国債の格付けが投機的とされる水準まで引き下げられるのは、ギリシャに次いで2カ国目。

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これについて、欧州委員会のバローゾ委員長は、「格下げのタイミングや影響の大きさを考えると極めて残念だ」と述べるとともに、主要格付け会社がいずれも米国を本拠としていることに言及し、「欧州のある特定の問題に対する評価に関して、市場である一定の偏見がある可能性を示している」とコメントした。

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ドイツのショイブレ財務相は、ポルトガル政府は財政再建に向けた措置を導入しており、「(格下げの)発表の根拠が理解できない」と批判。ムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、フィッチ・レーティングスという主要3社による「格付け会社の寡占体制を打ち破らなければならない」と強調した。また、欧州委のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)は、EUやIMFから金融支援を受けた国の格付けの停止を検討する考えを明らかにしている。

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一方、ムーディーズは「信用リスクに関する独自の客観的な評価を今後も提供し続ける」と述べ、格付け方針に変更はないとの立場を崩していない。

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