2011/7/25

産業・貿易

共通漁業政策改革案に仏など反発、漁獲枠の取引制度が焦点に

この記事の要約

欧州委員会が今月半ばに打ち出したEU共通漁業政策(CFP)の改革案をめぐり、加盟国間の意見対立が表面化している。各国が個々の漁業者に漁獲枠を割り当て、国内で取引できるシステムを導入することなどを盛り込んだ改革案に対し、1 […]

欧州委員会が今月半ばに打ち出したEU共通漁業政策(CFP)の改革案をめぐり、加盟国間の意見対立が表面化している。各国が個々の漁業者に漁獲枠を割り当て、国内で取引できるシステムを導入することなどを盛り込んだ改革案に対し、19日の漁業担当相会議ではフランスやスペインが強く反発。一方、英国、デンマーク、スウェーデンなどは欧州委の提案に支持を表明した。

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欧州委は持続可能な漁業を実現するには早急にあらゆる政策を動員し、EU全体で水産資源保護の取り組みを強化する必要があると指摘。2015年までに水産資源を減らすことなく、漁獲量を最大化する「最大維持可能漁獲量(MSY)」の確保を目標に掲げた。実現に向けた具体策として◇漁業者に割り当てる漁獲枠を国内で取引できるシステムを導入する◇16年までに市場価値が低いなどの理由で漁獲物を海に投棄する行為を禁止し、漁獲物がすべて水揚げされたかどうかを監視するためのモニターの搭載を義務付ける――などを提案している。

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フランスのルメール農相は記者団に対し、「あまりに過激な改革は欧州の漁業を崩壊に導く」と警告。漁獲枠の取引を認めた場合、資金豊富な一部の漁業者が市場を支配することになりかねないと指摘し、「提案されている形での漁獲割当制度を容認することはできない」と述べた。一方、スペインのアギラール環境・農村・海洋相は漁獲物の投機禁止について「現実的ではない」と批判。MSYの達成期限が15年に設定された場合、「社会的、経済的に多大な影響が及ぶ」と指摘し、期限を20年以降とすべきだとの考えを示した。

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