2011/8/22

総合 –EUウオッチャー

EU市民の4割超「労働市場は底打った」=世論調査

この記事の要約

欧州委員会がこのほど公表したEU市民の意識調査「ユーロバロメーター」の最新リポート(2011年春)によると、回答者の4割以上が、経済危機が労働市場に及ぼす影響は最悪の時期を脱したと答えるなど、全体としてEU経済に対する楽 […]

欧州委員会がこのほど公表したEU市民の意識調査「ユーロバロメーター」の最新リポート(2011年春)によると、回答者の4割以上が、経済危機が労働市場に及ぼす影響は最悪の時期を脱したと答えるなど、全体としてEU経済に対する楽観的な見方が広がっていることが分かった。また、加盟国が協調して経済政策を進めることが危機の克服につながると答えた人が全体の8割近くを占め、EU市民の大半がEUによる一連の危機対応を評価していることが確認された。

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今回の調査は5月にEU27カ国とEU加盟候補国の計3万1,769人を対象に実施された。まず、経済危機が労働市場に与える影響に関しては、「ピークを過ぎた」と答えた人が全体の43%を占めた。これは昨秋の前回調査より1ポイント高く、09年春との比較では15ポイント上回る水準。ただ、労働市場に対する認識は国によって大きく異なり、失業率が低水準で安定しているデンマーク、エストニア、オーストリアではすでに最悪の事態を脱したと考える人が60%を超えているのに対し、深刻な財政危機に陥っているギリシャとポルトガルでは「これから最悪期を迎える」と答えた人がそれぞれ78%、80%に上った。

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一方、EUや加盟国の危機対応については「すべての加盟国が経済政策で協調する」ことが危機を克服するうえで「有効」と答えた人が全体の79%を占め、EU市民の大部分が各国独自の対応よりEUレベルの政策協調が経済危機に対してより有効と考えていることが明らかになった。このほか「金融機関の救済に公的資金を注入する場合はEUが厳しく監視すべきだ」「金融サービス分野の規制でEUがより重要な役割を果たすべきだ」と考えるそれぞれ78%、73%に上った。

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さらに金融危機に対して「最も効果的に行動できる機関はどこだと思うか」との質問に対しては、EUと答えた人が22%で最も多く、各加盟国(20%)、IMF(15%)、G20(14%)、米国(7%)と続いている。

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欧州委のレディング副委員長は「最新のユーロバロメーターからEU市民はEUが危機に対して有効な対策を講じ、それによって経済が回復軌道に乗ったと考えていることが確認された。EU市民の大半はEUが正しい方向に進んでいるとみており、持続的な成長と雇用創出のためにEUと各国政府が引き続き有効な政策を進めることを期待している」と述べた。

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