2011/8/22

環境・通信・その他

EU内の風力発電、20年に3倍超に=業界団体予測

この記事の要約

欧州風力エネルギー協会(EWEA)はこのほど公表した最新リポートで、EU27カ国における風力発電の総発電量は2010年の182テラワット時(TWh)から2020年には3倍以上の581TWhに達し、域内の電力需要に占める風 […]

欧州風力エネルギー協会(EWEA)はこのほど公表した最新リポートで、EU27カ国における風力発電の総発電量は2010年の182テラワット時(TWh)から2020年には3倍以上の581TWhに達し、域内の電力需要に占める風力発電の割合は5.3%から15.7%に拡大するとの予測を示した。EWEAは30年までに域内における電力需要の28%( 1,154TWh相当)を風力発電で賄うことが可能との見通しを示したうえで、EUは風力発電を中心とするクリーンエネルギーへの投資を促進するため、30年を達成期限とする再生可能エネルギーの利用比率に関する拘束力のある数値目標を設定すべきだと指摘している。

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リポートによると、EU内では昨年末時点で陸上と洋上合わせて約7万基の風力タービンが稼働しており、20年までに6万基が増設される見通し。また、風力発電事業への投資額は現在の年間127億ユーロから20年には266億ユーロに拡大し、洋上風力発電への投資比率が約40%を占めると予測している。

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EWEAの政策担当責任者ジャスティン・ウィルクス氏は「EU諸国では20年までの10年間に総額1,940億ユーロが風力発電事業に投じられ、域内における総発電量は20年までに現在の3倍以上に拡大する見通しとなっている。こうした成果は主としてEUレベルの強力な規制によって達成されるもので、20年以降も同様の枠組みが不可欠だ」と指摘している。

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風力発電の導入状況を国別にみると、アイルランドでは風力発電の設備容量が20年までの10年間に4.2倍に拡大し、国内の電力需要に占める風力発電の割合は52%に達する見通し。このほか20年時点の電力需要に対する風力発電の割合は、デンマーク(38%)、ポルトガル(28%)、スペイン(27%)などで高くなっている。英国とドイツもそれぞれ19%、17%と高い水準が予想されているが、原子力大国のフランスは11%と、EU全体の平均(16%)を下回っている。

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