2012/1/16

産業・貿易

航空発着枠の消化率基準を強化へ、空港の運用効率化目的に

この記事の要約

欧州委員会はこのほど、EU域内の空港の発着枠(スロット)利用に関するルールの改正案を発表した。空港の効率的運用が目的で、航空会社に義務付ける発着枠消化率を85%に引き上げる。\ EUの現行ルールでは、航空会社が域内空港に […]

欧州委員会はこのほど、EU域内の空港の発着枠(スロット)利用に関するルールの改正案を発表した。空港の効率的運用が目的で、航空会社に義務付ける発着枠消化率を85%に引き上げる。

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EUの現行ルールでは、航空会社が域内空港にシーズン単位で確保している発着枠について、あるシーズンの利用率が80%を下回れば没収され、次シーズンに発着枠を他社に割り振ることになっている。欧州委は最低利用率を85%に引き上げることで、運航スケジュールが過密状態にある空港の旅客処理能力を増強し、運用効率の向上を図る。

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欧州委によると、域内では英ヒースロー、ガトウィック、独デユッセルドルフ、フランクフルト、伊ミラノの5空港で余剰発着枠がないフル稼働の状況となっている。何らかの措置を講じなければ、2030年には仏シャルル・ド・ゴール空港を含む19空港がパンク状態になる見通しだ。十分に活用されていない発着枠を、より効率的に利用できる航空会社に付与することで、この状況を是正したい考え。ルール改正によって域内空港の年間旅客処理能力は2025年までに2,400万人分増強され、2012~15年に50億ユーロの経済効果と6万2,000人の雇用創出が見込めるとしている。

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このほか欧州委は、空港の混雑解消策の一環として、搭乗手続き、手荷物取扱い、航空機への燃料補給など地上業務を効率化するため、同市場の開放を促進することも提案した。主要空港を対象に、地上業務を請け負う業者の数を現在の最低2社から同3社に引き上げることで競争を強化し、サービスの効率、質を改善させる。すでに同市場開放が進んでいる英国、オランダ、北欧諸国、ポーランドを除く加盟国が適用対象となる。

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ロイター通信によると、さらに欧州委は航空会社が余剰発着枠を売買できる制度の創設も検討中。同制度は現在、英国だけで実施されているという。

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今回の提案は、加盟国と欧州議会の承認が必要。欧州委は2013年末の承認を目指している。

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