2012/3/12

総合 –EUウオッチャー

ギリシャの債務削減成立へ、民間債権者の8割超が同意

この記事の要約

ギリシャ政府は9日、同国の国債を保有する民間投資家の8割以上が債務削減に応じたと発表した。削減計画成立に必要な75%を上回ったことで、ギリシャは1,000億ユーロを超える債務削減が決定。EUと国際通貨基金(IMF)による […]

ギリシャ政府は9日、同国の国債を保有する民間投資家の8割以上が債務削減に応じたと発表した。削減計画成立に必要な75%を上回ったことで、ギリシャは1,000億ユーロを超える債務削減が決定。EUと国際通貨基金(IMF)による総額1,300億ユーロの第2次支援実施に向けた障害もなくなった。

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銀行など民間債権者の債務削減は、第2次支援の前提条件となっていたもの。総額3,680億ユーロに上る債務残高のうち、民間が保有する2,060億ユーロの国債の元本を53.5%削減した上で、利回りの低い新たな長期国債と交換する。

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債務削減計画への参加表明は8日夜が期限だった。政府の発表によると、ギリシャ法の管理下にある総額1,770億ユーロの国債の85.8%に相当する分の保有者が期限までに削減に同意した。管理外の国債については、69%が削減に応じたが、期限を23日まで延長し、さらなる参加を促す。政府は削減に応じない債権者に受け入れを強制する集団行動条項(CAC)を発動する方針で、削減計画への最終的な参加率は95.7%に達するとしている。

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ギリシャは3月20日に145億ユーロの国債償還を控えている。債務削減成立による第2次支援実施で、とりあえずデフォルト(債務不履行)の危機を回避できることになった。

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債務削減計画の成立を受けて、ユーロ圏17カ国の財務相は同日に電話協議を実施。議長であるルクセンブルクのユンケル首相兼財務相は「第2次支援実施の条件が整ったとして、第1弾として355億ユーロの融資を実施することを明らかにした。また、IMFのラガルド専務理事も同日、280億ユーロの追加融資実施を理事会に提案する意向を表明した。

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ただ、国債利回りは依然として許容範囲を超えており、自力での資金調達は不可能な状況で、債務危機脱却には程遠い。景気もEUなどに支援の条件として約束した緊縮策の影響で急速に冷え込み、8日発表の12月の失業率は過去最悪の21%に達した。財政再建を軌道に乗せ、市場の不安を払しょくできるかどうか、なお不透明な状況だ。

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一方、デリバティブ取引に携わる金融機関などが加盟する国際スワップ・デリバティブス協会(ISDA)は9日、ギリシャの債務削減について、CACを発動する方針を固めたことを受けて「デフォルト」と認定し、信用リスクを取引するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保険金支払いを決めた。支払い額は19日に決めるが、30億ドル程度になるとしている。

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