2012/4/30

総合 –EUウオッチャー

EUがハンガリー支援の協議再開、中銀改革法の見直し確約で

この記事の要約

欧州委員会は25日、EUと国際通貨基金(IMF)に金融支援を要請しているハンガリーとの協議を再開する方針を明らかにした。ハンガリー側が中央銀行の独立性を確保するため現行法の見直しを行うと確約したことで、支援に向けた条件が […]

欧州委員会は25日、EUと国際通貨基金(IMF)に金融支援を要請しているハンガリーとの協議を再開する方針を明らかにした。ハンガリー側が中央銀行の独立性を確保するため現行法の見直しを行うと確約したことで、支援に向けた条件が整ったと判断した。EUは近くIMFと協議したうえでハンガリーとの交渉を再開する。

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ハンガリーは欧州債務危機の影響で通貨フォリントが大幅に下落し、同国政府は財政悪化のおそれがあるとして昨年11月、予防的措置としてEU とIMFに金融支援を要請した。しかしEU側は、オルバン首相率いる保守政権が進める公共機関やメディアに対する政府の影響力拡大を図る政策を問題視。特に中央銀行の独立性を制限する内容の中銀改革案がEU法に違反する恐れがあるとして、関連法の見直しを求めて12月中旬から同国との事前協議を中断していた。

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オルバン首相は24日にブリュッセルで欧州委のバローゾ委員長と対応策を協議し、現行法を見直して中銀の独立性を確保することを約束した。具体的には副総裁の任命権を総裁から首相に移管することや、金融政策委員会を7人から9人体制に拡大するなど、中銀総裁の権限縮小につながる規定の見直しに合意した。一方、総裁の大幅な給与削減策に関しては、財政赤字削減を目的とした公務員制度改革の一環で、総裁個人を標的にしたものではないと主張。現行規定の見直しを拒否したもようだ。

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欧州委は声明で、「ハンガリー政府は投資家の信頼にとって最も重要な要因であり、マクロ経済面の安定にも影響を及ぼす安定かつ独立した法環境に直結するすべての問題について、EU法に沿って具体的措置を講じることを確約した」と説明。「これらの約束が完全に実行されることを期待する」と表明した。

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ただ、金融支援に向けた協議が順調に進むかどうかは予断を許さない。アナリストらの間では、IMFが支援の条件として、予算執行を監視する財政政策審議会の権限強化や低所得層に対する減税措置などをハンガリー政府に求めるとの見方が有力。さらに政府が計画している金融取引や通信サービスに対する新たな課税制度についても批判的な意見が多く、IMFはこうした増税策を導入する前に歳出削減の強化を図るよう求めるとの観測が出ている。

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