2012/4/30

環境・通信・その他

原発ストレステストで追加調査、最終報告の公表は秋以降に

この記事の要約

欧州委員会は26日、東京電力福島第1原発の事故を受けて進めている域内の原子力発電所を対象としたストレステストについて、より詳細に安全性を点検するため追加的な調査を実施する方針を明らかにした。EU加盟国の原子力監督当局で構 […]

欧州委員会は26日、東京電力福島第1原発の事故を受けて進めている域内の原子力発電所を対象としたストレステストについて、より詳細に安全性を点検するため追加的な調査を実施する方針を明らかにした。EU加盟国の原子力監督当局で構成する欧州原子力安全規制機関グループ(ENSREG)は同日、全原子炉に対する調査結果をまとめた報告書を採択したが、欧州委はストレステストの最終段階にあたる第3国の専門家による立ち入り調査が進んでいないため、さらなる分析が必要と判断した。EUは6月の首脳会議までに最終報告をまとめ、原発の安全強化に向けた勧告を出す計画だったが、報告書の公表は秋以降にずれ込む見通しとなった。

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EUは域内14カ国にある計147基の原発を対象に、地震、津波、洪水、豪雨などの自然災害や航空機の墜落などを想定したストレステストを実施してきた。まず各原発の運営会社が点検を行い、次に各国当局が実施、最後に他の加盟国の専門家がチェックするという3段階のテストを4月末までに完了し、結果を公表する予定だったが、これまでに第3段階の検査が実施されたのは38基にとどまっている。このため欧州委はENSREGに対し、残りの原子炉についても第3国の専門家による追加的な立ち入り調査を実施して、報告書を作成し直すよう要請した。

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欧州委のエッティンガー委員(エネルギー担当)は声明で「EU市民は居住地の近くにある原発の安全性について詳しく知る権利がある。結論を出すタイミングより検査の信頼性の方が重要だ」と述べ、引き続き安全性の点検を続ける必要性を強調した。

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