2012/9/24

産業・貿易

欧州委がワイン改革見直し案を提示、高級用ブドウの作付け制限維持

この記事の要約

欧州委員会は21日、EU加盟国が2008年に合意したワイン産業の競争力強化を目的とする一連の改革に関連して、柱の1つである高級ワイン用ブドウの作付け自由化などについて見直しを進めていることを明らかにした。生産者の間で作付 […]

欧州委員会は21日、EU加盟国が2008年に合意したワイン産業の競争力強化を目的とする一連の改革に関連して、柱の1つである高級ワイン用ブドウの作付け自由化などについて見直しを進めていることを明らかにした。生産者の間で作付け制限が廃止されると高級ワインが供給過剰となり、価格崩壊を招くといった懸念が広がっていることが背景にある。欧州委は地理的表示(GI)保護制度の対象となっているワインに関しては、2015年以降も引き続き作付け制限を認めることなどを提案しており、11月に予定される加盟国とのハイレベル協議で合意形成を目指す意向を示している。

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欧州産ワインは2000年代半ば以降、豪州やチリなどから輸入される低価格の「新世界ワイン」に押されて域内での消費が低迷し、域外への輸出も伸び悩んでいる。欧州委は生産過剰が慢性化し、売れ残ったワインの処理費用として年間5億ユーロのEU予算を投じている現状を改善するため、07年に余剰ブドウ畑の閉鎖や高級ワイン用ブドウの作付け自由化などを柱とする改革案を打ち出した。当初は向こう3年間に低価格用ブドウ畑を域内全体で40万ヘクタール削減することを提案していたが、加盟国の反対で最終的に削減幅は半分以下に抑えられた。一方、高級ワイン用ブドウの作付け自由化は欧州委が提案していた13年から15年に先送りされ、各国の判断で18年まで現行の作付け制限が認められている。

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欧州委農業総局のロドリゲス総局長は、自由化計画に対して多くのワイン生産者が深刻な懸念を抱いていることを認め、「より柔軟な解決策が求められている」と指摘。そのうえで「単に従来の制度を維持していても問題は解決されない」と強調し、「作付け管理を行う場合は柔軟かつ非差別的なシステムを構築する必要がある」と述べた。

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欧州委は具体的に、地理的表示保護(PGI)および原産地呼称保護(PDO)の対象となっているワインについて、15年以降も作付け制限を認めることを提案している。また、それ以外のワインに関しても、生産量が一定水準を超えた場合に作付けを制限するセーフガードの導入を検討している。

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