2012/11/26

競争法

グレンコアのエクストラータ買収、条件付きで承認

この記事の要約

欧州委員会は22日、スイスの大手資源商社グレンコアが同国の鉱山大手エクストラータを買収する計画を条件付きで承認したと発表した。グレンコアは決定に従い、ベルギーの亜鉛生産大手ニルスターと結んでいる長期供給契約を解除するほか […]

欧州委員会は22日、スイスの大手資源商社グレンコアが同国の鉱山大手エクストラータを買収する計画を条件付きで承認したと発表した。グレンコアは決定に従い、ベルギーの亜鉛生産大手ニルスターと結んでいる長期供給契約を解除するほか、ニルスター社の株式を売却する。グレンコアとエクストラータはそれぞれ20日に株主総会を開いて買収・統合計画の承認を得ており、今後は中国と南アフリカの競争当局による審査の行方に焦点が移ることになる。

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グレンコアとエクストラータは今年2月に合併で合意した。エクストラータに34%出資するグレンコアが約330億ドルで残り株式を取得する形で、実現すると資源の採掘から販売までを一手に手がける年商2,100億ドルの巨大な資源メジャーが誕生する。統合後の新会社は亜鉛の採掘で世界最大手となり、ニルスターとの契約を合わせると精錬では欧州亜鉛市場で50%超のシェアを握ることになる。欧州委は計画を認めた場合、とりわけ北欧の亜鉛市場でグレンコアの支配力が強まることを懸念しており、公正な競争を維持するためグレンコアに亜鉛事業の縮小を求めていた。

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グレンコアはニルスターの筆頭株主で、同社の株式7.79%を保有している。また、両社は2008年から亜鉛取引に関する長期供給契約を結んでおり、契約期間は18年までとなっている。関係筋によると、ニルスターとの契約解除によってグレンコアが扱う亜鉛の取引量はおよそ35万トン減少し、欧州の亜鉛市場における同社のシェアは15%程度縮小する見通し。さらにグレコアは買収認可の条件として、向こう10年間にわたり、欧州市場でニルスターから直接あるいは間接的に亜鉛の供給を受けないことでも合意した。

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グレンコアとエクストラータの合併が実現すると、統合後の時価総額は約670億ドルと、英豪資本のBHPビリトンやリオ・ティント・ヴァーレなどに次ぐ世界4位に浮上する。資源分野では巨大グループが価格支配力を強めることへの懸念が広がっており、このところ大型の買収や合併が成立しにくい環境になっている。グレンコアとエクストラータの案件が成立すると、鉱山業界では史上最大、資源ビジネス全体でもエクソンとモービル、BPとアモコなど、石油大手同士の合併に次ぐ史上5番目の規模となる。

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