2013/5/21

総合 –EUウオッチャー

EBAが銀行の資産状況を精査へ、ストレステストは先送り

この記事の要約

欧州銀行監督機構(EBA)は16日、EU域内の銀行に対する次回のストレステスト(健全性審査)に先立って、各行の資産の質を精査すると発表した。資本状況に限定したストレステストの信頼性が疑問視されていることを受けたもので、リ […]

欧州銀行監督機構(EBA)は16日、EU域内の銀行に対する次回のストレステスト(健全性審査)に先立って、各行の資産の質を精査すると発表した。資本状況に限定したストレステストの信頼性が疑問視されていることを受けたもので、リスク資産についても詳しく審査することで銀行の健全性を総合的に把握できるようにする。これに伴い、今年に実施するはずだった次回のストレステストは来年に延期される。

\

資産評価はEBAが策定するガイドラインに基づいて実施される。不良資産に対する引き当てが十分に行われているかなどが調査項目となる見込みだ。

\

対象となるのは域内の大手銀行。ユーロ圏では、昨年12月に合意した銀行監督を欧州中央銀行(ECB)に一元化するルールに基づき、ECBが主体となって資産総額が300億ユーロを超えるか、国内総生産(GDP)の20%以上を占める大手銀行を対象に実施する。ユーロ圏に参加していない10カ国では、各国の中央銀行が、それぞれ選んだ大手銀行に対して行う。銀行監督一元化の法案が成立してから実施する。

\

EUでは信用不安対策の一環として、2010年から銀行のストレステストを実施し、十分な資本を確保しているかどうかを検査している。“不合格”と判定された銀行は、資本増強を命じられる。狭義の中核的自己資本比率が5%を上回っていることを合格基準とした前回調査(11年)では、スペイン、ギリシャなどの8行が資本不足と認定され、計25億ユーロの資本増強を指示された。

\

しかし、ストレステストをめぐっては、資本調査だけでは銀行の健全性を適格に判断することはできず、調査結果と銀行が実際に抱えるリスクに大きな乖離(かいり)があるという指摘が出ていた。実際に、10年に実施された1回目のテストでは、「不合格」となった銀行は7行にとどまったものの、合格と判断されたアイルランドの銀行がその後に資本不足に陥り、同国がEUと国際通貨基金(IMF)に金融支援を要請する事態に追い込まれた。

\

EBAはこうした反省を踏まえて、ストレステストに先行して資産の質についても精査することを決めた。正式な調査結果は14年に実施するストレステストの結果と合わせて公表する。

\