2013/10/28

産業・貿易

加盟国と欧州議会、株高速取引の規制案で基本合意

この記事の要約

EU加盟国と欧州議会の代表は22日、金融市場の透明性向上を目的とする金融商品市場指令「MiFID」の改正案について協議し、証券市場で専用のプログラムを用いて1千分の1秒単位で自動的に発注を繰り返す超高速・高頻度取引(Hi […]

EU加盟国と欧州議会の代表は22日、金融市場の透明性向上を目的とする金融商品市場指令「MiFID」の改正案について協議し、証券市場で専用のプログラムを用いて1千分の1秒単位で自動的に発注を繰り返す超高速・高頻度取引(High Frequency Trading=HFT)に対する規制案の内容で基本合意した。統一ルールの導入に向けて技術面など詳細を詰め、年内の正式合意を目指す。

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世界の取引市場では売買代金に占める超高速取引の比率が高まっており、ロンドン証券取引所(LSE)をはじめとする欧州の証券市場では全体の約3割を占めている。ヘッジファンドなどがコンピューターで自動発注を繰り返す超高速取引は、常に大量の注文を出すため市場の厚みが増す一方、相場を乱高下させるリスクを伴う。2010年5月に米市場でダウ工業株30種平均が一時1,000ドル近く下げた「フラッシュクラッシュ」と呼ばれる現象も、コンピューターによる自動発注が一因だった。欧州委はこうした現状を踏まえ、技術革新に伴う市場の価格変動リスクを抑制するため、2011年10月にまとめたMiFID改正案(通称:MiFID II)で新たに「アルゴリズム取引」と呼ばれるカテゴリーを設け、EUレベルで超高速取引を規制する方針を打ち出した。

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EU議長国リトアニアによると、3者協議では市場間でのティックサイズ(刻み値の最小単位)の調和、取引システムの時刻同期、アルゴリズムの検査などで合意に達した。一方、欧州議会はすべての取引を対象に、発注から少なくとも500ミリ秒(0.5秒)が経過するまでキャンセルまたは変更できないとするルールの導入を主張していたが、業界側の意向を受けた加盟国の反対で見送られた。欧州議会はこのほか、一度に大量の取引を行うトレーダーがブローカーのコンピューターコードを使って匿名で取引所や取引プラットフォームに直接アクセスできる「ネーキッドアクセス」を禁止することを提案していたが、加盟国との間で意見調整が難航し、当面は監視を強化したうえで現行システムを維持することで妥協が成立した。

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