2014/3/10

産業・貿易

キューバがEUとの政治対話に合意、通商関係強化の交渉開始へ

この記事の要約

EUが先にキューバとの通商関係強化に向けた政治対話の開始を決定したことを受け、キューバ政府は6日、EU側の提案に応じる方針を明らかにした。EUは人権問題の改善などを前提に2015年末までの協定締結を目指すとしており、キュ […]

EUが先にキューバとの通商関係強化に向けた政治対話の開始を決定したことを受け、キューバ政府は6日、EU側の提案に応じる方針を明らかにした。EUは人権問題の改善などを前提に2015年末までの協定締結を目指すとしており、キューバ側もただちに交渉を開始する用意があると応じている。

EU加盟国は2月10日の外相理事会で、キューバとの経済通商関係の促進に向けた協定の締結交渉を開始することで合意した。EUは03年、キューバ政府による反体制派の抑圧を理由に同国に対する制裁を発動。08年には制裁を解除し、これまでに15カ国がそれぞれキューバとの間で協力協定を結んでいるが、EUとしての関係性は災害時の人道援助や開発支援などに限定されていた。しかし、ラウル・カストロ政権による改革が進展をみせるなか、旧宗主国のスペインやオランダなどの働きかけで関係強化への機運が高まり、外相理では来年末までに「政治対話と協力協定」の締結を目指すことで合意した。

キューバのロドリゲス外相は記者会見で、EU側の提案を「喜んで受け入れる」と述べ、政治対話の開始は「EU側の一方的な対キューバ政策の終わりを意味する」と強調。「建設的な関係」の構築に向けて高官レベルでの交流を再開するとともに、ただちに交渉スケジュールの調整に入りたい考えを示した。

EU側にとってキューバとの通商関係を強化する経済面のメリットは大きくないが、米・キューバ関係のこう着状態が続くなか、EUの存在感を高めて人権問題の改善などで発言力を強める狙いがある。ただ、EU加盟国のうちポーランドやチェコなど一部の旧共産主義国は、自国の歴史を踏まえてこれまでキューバに対して厳しい態度で臨んでおり、人権問題が大幅に改善されない限り早い段階での協定締結は難しいとの見方も出ている。