2020年2月24日

EU首脳会議、次期中期予算で合意できず

加盟国は20、21日に開いた臨時首脳会議で同問題を協議したが、離脱した英国の拠出がなくなることで財源に穴が開くことから予算縮小を主張する一部の国と、補助金確保のため増額を求める国が対立し、合意に至らなかった。

ミシェルEU大統領(欧州理事会常任議長)は臨時首脳会議を前にした15日、妥協案として次期予算をGNI比1.074%の約1兆900億ユーロとする案を提示した。

これを受けてミシェルEU大統領は、21日に再開した会議で、純拠出国側に配慮してGNI比1.069%とする案を出したが、双方からまったく相手にされず、計30時間近くに及んだ協議は溝が埋まらないまま終了した。

欧州委が新たなデジタル戦略発表、産業データ共有の「欧州データ圏」構築へ

欧州委員会は19日、産業データの利活用や人工知能(AI)の開発促進などを柱とする新たなデジタル戦略を発表した。

EU域内の企業や研究機関などが保有する各種データを集積した「欧州データ圏」を構築し、企業などが共有できる仕組みを整備するほか、AIの研究・開発で今後10年間に官民合わせて年200億ユーロを投じることなどが柱。

欧州データ圏は域内の企業や研究機関、自治体などが持つデータを「製造業」「グリーンディール」「移動」「健康」など分野ごとに集積し、共有する仕組み。

フェイスブックの対応「不十分」、欧州委が有害情報対策の強化要請

フェイスブックは同日公表した「未来への展望:オンラインコンテンツ規制」と題する提案書で、違法・有害情報対策ではグローバルな政策が必要で、情報の「媒体」にすぎないインターネット企業にプラットフォーム上のコンテンツに対する責任を負わせた場合、言論の自由が制限される恐れがあると指摘。

「欧州で展開するプラットフォームが欧州委の求める条件を尊重しないのであれば、より厳格な方法で介入しなければならない」と警告した。

また、ヨウロヴァ副委員長(価値・透明性担当)は「フェイスブックはすべての責任から逃れられない。有害なコンテンツを排除するための取り組みをさらに強化してもらいたい」と述べた。

「MiFIDⅡ」修正に向け協議開始、欧州委が「統合テープ」構築提案

欧州委員会は17日、より安全で安定的な金融システムの構築を目的とした金融規制「第2次金融商品市場指令(MiFIDⅡ)」の修正に向けた公開協議を開始した。

MiFIDⅡは金融危機後の金融規制改革の一環として、2018年1月に施行された金融・資本市場の包括的な規制。

MiFIDⅡの見直しではプラットフォームを横断して銘柄や取引価格、執行市場名など直近の取引情報を表示する統合テープシステムの構築が「最優先課題」であり、「市場データへのアクセスを民主化するための大きな一歩」と説明。

航空旅客の情報共有で日本と交渉へ、欧州委に交渉権限付与

「乗客予約記録(PNR)」をテロや国境を越えた重大犯罪の防止や捜査に役立てるため、個人情報保護と基本的人権を尊重しながら、日本・EU間でデータ共有を可能にする法的枠組みを構築する。

EUはテロ対策の一環として、2012年に米国との間でPNRの提供に関する協定を結んだものの、加盟国間でデータを共有するシステムは整備されていなかったが、15年のパリ同時テロなどを受け、16年に各国当局がPNRを共有する制度を導入した。

EU議長国クロアチアのボジノビッチ副首相兼内務省は「日本はテロや重大犯罪との戦いにおいて緊密なパートナーだ。PNRデータを活用してセキュリティを強化すると同時に、市民の基本的な権利を強力に保護することで、EUと日本のパートナーシップをさらに発展させることができる」と強調した。

1月のEU新車販売7.5%減、5カ月ぶりに低迷

欧州自動車工業会(ACEA)が18日発表したEU(英国、マルタを除く26カ国)の1月の新車販売(登録)台数は95万6,779台となり、前年同月から7.5%減少した。

ACEAは販売低迷について、一部の国で1月から自動車が増税となり、前月に駆け込み需要で販売が急増した反動や、世界的な経済環境の悪化、英国のEU離脱をめぐる不透明感が要因になったと分析している。

EU26カ国に英国、アイスランド、ノルウェー、スイスを加えた欧州30カ国ベースの販売台数は7.4%減の113万5,116台。

EUの租税回避地ブラックリスト、新たに4カ国・地域指定

EUは18日に開いた財務相理事会で、租税回避対策に非協力的な国・地域を列挙する「ブラックリスト」に英領ケイマン諸島、パラオ、パナマ、セーシェルの4カ国・地域を追加することを決めた。

EUでは加盟国が独自にタックスヘイブン(租税回避地)のリストを作成し、対象となる税法域の監視を行ってきたが、2017年12月の財務相理で初めてEU共通のブラックリストを承認した。

英領ケイマン諸島は英国がEUを離脱したため、今回のリスト見直しで対象国に指定された。

1月のユーロ圏インフレ率、確定値も1.4%

EU統計局ユーロスタットが21日に発表した1月の消費者物価統計によると、ユーロ圏のインフレ率(確定値)は速報値と同じ前年同月比1.4%となり、前月の1.3%から0.1ポイント拡大した。

欧州中央銀行(ECB)が金融政策決定で重視する基礎インフレ率(価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いたインフレ率)は1.1%で、前月から0.2ポイント縮小した。

離脱した英国を含むEU28カ国ベースのインフレ率は、前月を0.1ポイント上回る1.7%。

19年のユーロ圏貿易収支、2257億ユーロの黒字

19年通期は2,257億ユーロの黒字で、黒字幅は前期の1,946億ユーロを上回った。

前年同月は148億ユーロの黒字だった。

19年通期は2,003億ユーロの黒字で、黒字幅は前期の1,518億ユーロから拡大した。

仏アルストム、ボンバルディアの鉄道事業買収で合意

仏鉄道車両・設備大手のアルストムは17日、カナダ同業ボンバルディアの鉄道事業を買収することで合意したと発表した。

両社を合わせた売上高は160億ユーロを超え、アルストムは世界2位の鉄道メーカーに浮上する。

買収するボンバルディアの鉄道部門「ボンバルディア・トランスポーテーション」の19年の売上高は約83億ユーロ。

オペルが日本市場に再参入、電動車も投入

仏自動車大手グループPSAの独子会社オペルは18日、日本市場に2021に再参入する計画を発表した。

日本ではドイツ車の評価が高いことから、欧州域外市場の開拓方針に従い再チャレンジすることにした。

PSAの販売網を活用することで、再参入コストを抑制する。

伊最大手銀インテサ、5位UBIに買収提案

伊最大手銀行のインテサ・サンパオロは17日、国内5位銀行のUBIバンカに買収を提案したと発表した。

17年には経営危機で政府が救済した中小4銀行のうち3銀行を買収していた。

インテサは認可に向けて競争上の問題に対応するため、UBIと合わせて400~500支店を伊6位銀行のBPERバンカに売却する意向を表明。

英HSBCが大型リストラ、投資銀行縮小など

投資銀行部門の縮小などにより、2022年末までに1,000億ドル規模の資産圧縮を進め、年間コストを45億ドル削減する。

19年は香港の反政府デモ激化や、欧州の投資銀行部門などの減損処理が経営を大きく圧迫し、税引き前利益は前年を3割下回る133億5,000万ドルに縮小した。

投資銀行部門ではリスク調整済資産を米国で45%、欧州で35%圧縮する。

半導体ダイアログ、米アデストを買収

ダイアログは米IT大手アップルへの依存度を引き下げるために自動車、IoT向けチップ事業の強化方針を打ち出しており、昨年10月にもIoT向け半導体の開発会社である独クリエイティブ・チップスを買収することで合意していた。

アデストを1株当たり現金12.55ドルで買収する。

ダイアログは「iPhone」などアップルの製品向けに電力制御用チップを供給するサプライヤーで、売り上げの4分の3をアップルとの取引で獲得してきた。

ボッシュ、IoT子会社を設立

自動車部品系複合企業の独ボッシュは17日、モノのインターネット(IoT)事業を統括する子会社ボッシュ.IOを設立したと発表した。

顧客向けのIoTプロジェクトを迅速・効率的に実施できるようにすることで、同分野での主導的な立場を強化する狙い。

各プロジェクトを実施する際は、ボッシュが抱えるソフトウエアや人工知能(AI)分野の約3万人の社員と協業する。

日本製鉄、仏バローレックに追加出資

日本製鉄は20日、鋼管事業で提携する仏鉄鋼大手バローレックに追加出資することで合意したと発表した。

バローレックが財務改善のため実施する増資の一部を引き受け、提携に必要なレベルの出資比率を維持する。

重要な戦略的パートナーであるバローレックとの提携強化に向けて、同社の増資に最大3,500万ユーロを投じて協力し、出資比率を10%程度に維持する。

ワッカーケミーがコスト削減、従業員1千人強を整理

独化学大手のワッカーケミーは20日、事業効率向上プログラム「シェープ・ザ・フューチャー」を発表した。

材料費と社内業務を削減するほか、組織のスリム化を推し進め年コストを2億5,000万ユーロ圧縮する。

事業効率向上プログラムでは特に組織のスリム化を重視している。

ユニパーが独東部の発電所を売却、褐炭発電から撤退

ドイツでは2038年までに石炭発電が全廃されることから、ユニパーは同国での石炭発電事業を大幅に縮小する。

ユニパーは同発電所株の売却により、欧州の褐炭発電事業から全面撤退することになる。

ユニパーは1月末、石炭発電廃止法案の閣議決定を受けてドイツ国内の石炭発電事業を大幅に縮小する方針を打ち出した。

BMW、露カリーニングラード工場建設を凍結

独自動車大手BMWはロシア・バルト海沿岸のカリーニングラードに組立工場を建設する計画を凍結する。

BMWはロシアでの自社工場建設に以前から関心を向けており、有力な候補地としてカリーニングラードを検討してきた。

同地ではすでに1999年から、自動車の受託生産を手がける現地メーカーのアフトトルにロシア市場向け車両の生産を委託している。

S&P、ハンガリーの格付け見通しを引き上げ

見通しが改善した理由としてS&Pは、2019年1~9月期の国内総生産(GDP)成長率が5.1%と好調であったことを挙げた。

また中欧で最大規模の同国の政府債務について、経済成長と財政引き締めにより縮小していくとの見方を示した。

格付けを据え置いた理由としては、◇輸出主導型の同国経済は強靭で対外的な条件にも恵まれている◇民間債務が少なく柔軟な為替政策をとっている――ことを挙げた。

ハンガリーOTP銀、ベルギー同業にスロバキア子会社を売却

ハンガリー最大手銀行のOTPバンクはこのほど、スロバキア子会社OTPバンカ・スロベンスコをベルギー同業のKBCバンクに売却したと発表した。

OTPバンカ・スロベンスコの国内シェアは約3%。

OTPは売却の理由にシェアの低さを挙げた。

中国ハイアール、ルーマニアに冷蔵庫工場開設

中国家電大手のハイアール(海爾集団)がルーマニアに生産施設を設置する。

現地メディアが17日に報じたもので、5,000万ユーロを投じてブカレスト北郊のプラホバ県アリチェスティ・ラフティバーニに年産能力が最大60万台の冷蔵庫工場を建設する。

同社はロシア・タタルスタン共和国でも年産能力50万台の冷蔵庫工場「ハイアール・フリージ・ロシア」を操業している。

米がロスネフチ子会社に制裁措置、ベネズエラの原油販売で

米国財務省は18日、ロシア石油最大手の国営ロスネフチ傘下の貿易会社ロスネ・トレーディング(スイス)に対する制裁措置を発令した。

米国が経済制裁の対象としているベネズエラ国営石油会社PDVSAの西アフリカとアジアでの原油販売に関わったことが理由だ。

米国は昨年、ベネズエラで独裁体制を続けるマドゥロ大統領を排除し同国に民主主義を回復させるという名目で、同国に対し米国内の政府資産凍結や政府要人の入国拒否など全面的な経済制裁を発動した。

ブルガリア航空、カタール航空とコードシェア

国営ブルガリア航空はこのほど、カタール航空との共同運航(コードシェア)を3月2日から開始すると発表した。

カタール航空の利用者は保養地として有名な黒海沿いのヴァルナとブルガスへのアクセスが向上する。

ブルガリア航空はヴァルナとブルガスを含む欧州の25都市に就航している。

トルコ中銀が6会合連続で利下げ、政策金利10.75%に

同国の1月のインフレ率は12.2%となり、ピーク時の2018年10月(25.2%)からは大幅に改善したものの、19年10月(8.6%)からは3カ月連続で上昇している。

昨年9月には、政策金利を近いうちに1ケタ台に引き下げ、それに伴いインフレ率も1ケタ台に鈍化するとの見通しを示していた。

中銀は昨年7月、2年10カ月ぶりの利下げを実施し、政策金利を24%から19.75%に引き下げた。

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