ロシア国営ガスプロムが計画するバルト海天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム」の拡張プロジェクトに、独ヴィンタースハルも参加することが決まった。親会社のBASFが7月31日発表した。同プロジェクトにはすでに独電力大手のエーオン、墺石油大手のOMV、英蘭系石油メジャーのシェルが出資の意向を表明している。投資額は最大10億ユーロ弱となる見込み。
ノルド・ストリームはロシアのヴィボルグとドイツ北東部のルブミンを直結する海底パイプライン。ロシアにとっては対立関係にあるウクライナを迂回して主要顧客である欧州に天然ガスを輸出できる、戦略的に重要な輸送路だ。
すでに稼動している第1、第2パイプラインの年間輸送能力は合計550億立方メートルに上る。新プロジェクトではさらに2本を敷設して2019年末までに輸送能力を2倍に引き上げ、欧州需要の10%を供給できるようにする。既存の2本のパイプラインと同様、ガスプロムが過半数株を握ることになる。
ロシアはウクライナが「安定した経由地といえない」として、同国を迂回する欧州向け天然ガス供給ルートの整備に力を入れている。両国間の天然ガス輸送契約が失効する2019年末を視野に入れ、黒海からトルコを経由してギリシャ国境に至る「トルコ・ストリーム」の建設計画も推進している。
トルコ・ストリームは2017年に稼動する予定だ。当初はトルコ向けに年156億立方メートルを輸送し、最終的に630億立方メートルまで能力を引き上げる。