2015/10/14

総合・マクロ

ウクライナとロシアの債務再編交渉、物別れに

この記事の要約

ウクライナの対ロシア債務の再編をめぐる交渉が9日、物別れに終わった。12月に償還期限を迎える30億ユーロの債務が対象で、ロシアのシルアノフ財務相は、ウクライナに「完全な債務履行」を求める姿勢を明らかにした。国際通貨基金( […]

ウクライナの対ロシア債務の再編をめぐる交渉が9日、物別れに終わった。12月に償還期限を迎える30億ユーロの債務が対象で、ロシアのシルアノフ財務相は、ウクライナに「完全な債務履行」を求める姿勢を明らかにした。国際通貨基金(IMF)による対ウクライナ融資継続に債務再編が必要であることを認識し、同国や欧米への圧力を高める狙いとみられる。両国は今後も交渉を続けることで一致した。

ウクライナのヤレスコ財務相は8月に、180億ユーロの債務再編で民間の大口債権者と合意。元本の20%削減を実現した。しかし、この交渉にロシアは加わっておらず、同国との合意が懸案となっている。

この債務は、ヤヌコビッチ前大統領が政権を握っていた2013年末にロシア国民福祉基金から借り入れたものだ。ヤレスコ財務相は、同基金を民間投資家と位置づけ、その債権も「他の民間投資家と同じように扱わなければならない(=元本削減)」と主張している。

一方、ロシアはウクライナの債務が国家間融資であると反論している。IMFは基本的に、他の国家への債務が履行できない国には融資しないことになっており、ウクライナは総額400億ドルの支援プログラムの打ち切りという危機に直面する。ただし、ヤレスコ財務相は再編に失敗しても、IMFがウクライナの改革努力を評価し、支援を可能にすると見込んでいる。

残る問題は、IMFからの融資がうまくいっても、ウクライナの資金需要が満たせないことにある。このため、ヤレスコ財務相はドイツ、米国など20カ国・地域(G20)諸国に対し、融資額を75億米ドルから倍増させることを求めている。

IMFは、ウクライナ経済が今年11%縮小するとみている。来年は2%とわずかながら成長に転じる見通しだ。