2015/10/14

総合・マクロ

ガスプロム、トルコ・ストリーム計画の規模半減

この記事の要約

ロシアのガス最大手ガスプロムのミレル社長は6日、トルコを経由して欧州に天然ガスを供給するパイプラインを敷設する「トルコ・ストリーム」計画について、供給能力を当初予定の年630億立法メートルから320億立法メートルに減らす […]

ロシアのガス最大手ガスプロムのミレル社長は6日、トルコを経由して欧州に天然ガスを供給するパイプラインを敷設する「トルコ・ストリーム」計画について、供給能力を当初予定の年630億立法メートルから320億立法メートルに減らすと発表した。同時期にバルト海パイプラインを拡張することを勘案したと説明している。シリア・イラク内戦をめぐってロシアとトルコの関係が軋むなかでの決定には、トルコへの圧力を強めたいロシア政府の意向が背景にある可能性がある。

トルコ・ストリームは昨年末、「サウス・ストリーム」の代替計画として発表されたものだ。2020年までに合計630億立法メートルの輸送容量を整備するとされていた。第1パイプラインの157億5,000万立法メートルはトルコ向けで、残りを対欧州輸出に割り当てる予定だった。

着工は今年末、第1パイプライン稼働は来年末と計画されていた。しかし、ガス価格をめぐって両国が対立し、計画始動の前提となる政府間協定もまだ締結されていない。このため着工時期の見通しが立たず、ガスプロムは先月、「来年中の稼働は無理」との見方を示していた。

一方、バルト海海底ライン「ノルド・ストリーム」の拡張計画はトルコ・ストリーム計画の公表からわずか半年後の今年6月に発表された。パイプラインを新たに2本敷設して4本とし、輸送能力を現行の550億立方メートルから1,100億立方メートルに倍増させる内容で、欧州エネルギー大手が次々に参加を決めた。同パイプラインはロシアのフィンランド国境に近いヴィボルグとドイツ北東部のルブミンを直結している。(東欧経済ニュース6月24日号「ロシア、欧州向けガスパイプラインを拡充」、2014年12月10日号「ロシアとトルコ、黒海パイプライン計画で正式合意」を参照)