海水淡水化プラントで伝熱管材料として使用されるチタンに代わる高分子系複合材料をフラウンホーファー応用素材研究所(IFAM)が開発した。ポリマーの中に金属繊維を分散させたのがポイントで、金属の持つ熱伝導性と高分子の持つ軽い・加工しやすいといった性質をあわせ持つ。高価なチタンではなく、安価な一般金属を使うため低コスト化が可能だ。
\海水淡水化プラントで主に用いられている蒸発法では、海水をヒートパイプ上に散布して蒸発させ、塩分を取り除いて淡水を得る。このため、ヒートパイプは海水に対する高い耐食性が要求される。
\チタンは表面の酸化被膜(不動態被膜)によって内部の金属を腐食から保護するため、非常に優れた耐食性を示す。特に海水に対しては白金並みの耐食性がある。また、軽くて比強度が高いことから、航空・宇宙、石油・化学プラント、火力・原子力発電設備など様々な産業分野で使用されている。
\ただ、チタンは需要が拡大しているため、将来の安定供給に懸念がある。淡水の供給不足は生活や経済活動に直結するだけに、チタンに代わるパイプ材の開発は緊急の課題となっている。
\IFAMのチームが開発した新素材は、ポリマー中に重量比で最大50%の銅繊維が含まれている。通常のポリマー同様に加工できるうえ、管の長さも自在に調整できるため、継ぎ目のないパイプを製造することも技術的に可能という。今後は海水淡水化のパイロット施設で実際に投入し、耐久性や耐食性などを確認する計画だ。
\IFAMはデュッセルドルフで10月9日~11日に開催される複合材見本市で研究の成果を発表する。
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