ゲシェフトフューラーの豆知識

退職後の競業禁止合意破棄で最高裁判決

雇用主は被用者との間で、退職後に競合企業で勤務することなどを禁じる取り決めを行うことができる。これは「競業禁止(Wettbewerbsverbot)」と呼ばれるルールの1つで、営業令(GewO)110条に記されている。そ […]

面談内容を被用者が極秘録音、解雇は妥当か

雇用主が職場にビデオカメラやレコーダーを極秘に設置できるのは、盗みなどの犯罪が行われている具体的な容疑がある場合に限られる。極秘撮影・録音は憲法(基本法)で保障された人格権の侵害に当たるからである。では、職場で問題を起こ

嫌疑解雇のハードル高し

被用者が重大な不正を行った疑いがある場合、雇用主は通常、解雇を検討する。だが、実際に解雇するためのハードルは高い。そんな印象を与える判決をラインラント・ファルツ州労働裁判所が昨年7月に下したので、ここで取り上げてみる(訴

職場の予防接種で副作用、雇用主に責任はあるか

職場で行った予防接種で副作用が出た場合、雇用主に損害賠償などの支払い義務は発生するのだろうか。この問題をめぐる係争で、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が昨年12月の判決(訴訟番号:8 AZR 853/16)で判断を示した

解雇時の事業所委への説明は十分に

従業員を解雇する際は、事業所委員会(Betriebsrat)に理由を説明してその意見を聴取しなければならない。これは事業所体制法(BetrVG)102条1項に明記された規則で、この手続きなしに解雇を通告することはできない

女性限定の採用募集は違法な差別か

採用募集で差別された場合、応募者は募集を行った企業などに損害賠償や慰謝料の支払いを請求できる。これは一般平等待遇法(AGG)15条1項、2項に明記されたルールである。では、募集対象を女性に絞った求人に応募した男性は性差別

通常業務免除対象の事業所委員の数で最高裁判断

事業規模が大きい企業では、従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)の一部の委員が通常業務を免除される。これは事業所体制法(BetrVG)38条1項に記されたルールである。事業所委の活動に専念できる

勤務時間合意からの逸脱は認められるか

始業時間、終業時間、休憩時間などは労働組合との協定や法律で特別な定めがない限り、従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)と雇用主が共同で決定しなければならない。これは事業所体制法(BetrVG)8

排外的な言動、プライベートでも処分は妥当か

勤務中に外国人を差別する発言をした被用者は解雇などの処分を受けることになる。差別は憲法(基本法)で禁じられており、職場でそれを放置・許容することは許されないためである。では差別的な発言や表現をプライベートな場で行った場合

被用者の監視で最高裁判断

従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)は業務の多くの事柄を雇用主と共同で決定する権利(Mitbestimmungsrechte)を持つ。これは事業所体制法(BetrVG)87条に定められたルールで、

事業所委に電子ボードの利用請求権はあるか

従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)は必要な情報を従業員に適宜、提供する権利があり、情報伝達に必要な手段の提供を雇用主に要求できる。これは事業所体制法(BetrVG)40条2項に明記されたルー

被用者の解約予告期間、長期化は認められるか

労働契約を被用者の側から解除する場合、契約解除日は月末か15日のどちらかとなり、いずれの場合もその4週間前までに通告しなければならない。これは民法典(BGB)622条1項で定められたルールである。 ただ、被用者の解約予告

小規模企業の解雇・再雇用で最高裁判断

従業員数が通常的に5人以下の企業で働く被用者には解雇保護法(KSchG)の規定が一部の例外を除いて適用されない。これは解雇撤回訴訟に伴う経費が小規模企業の経営の大きな負担になることを考慮して採用されたルールであり、同法2

病休社員の職場復帰措置で最高裁判決

年に6週間以上、病気休業する被用者がいる場合、雇用主はどうすれば職場に復帰できるかを従業員の代表である事業所委員会(Betriebsrat)などと共同で検討しなければならない。これは第Ⅸ社会法典(SGBⅨ)84条2項に記

制服の着替え時間、賃金の対象にならないことも

制服の着用が義務づけられている職場ないし職種では制服の着替えが勤務の一部とみなされ勤務時間に算入される。これは最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が2010年の判決(訴訟番号:1 ABR 54/08)で下した判断である。この

欧州会社の労使共同決定合意で裁判所が判断

欧州連合(EU)域内では2004年以降、加盟各国の法律とは異なるEU独自の欧州会社法に基づく企業である「欧州会社(Societas Europaea=SE)」を設立できるようになった。欧州会社の設立に際しては「欧州会社に

従業員メールの監視で欧州人権裁が判決

被用者が職場のパソコンなどを用いてプライベートな通信を行うことの是非をめぐる係争で欧州人権裁判所(ECHR)が5日に判決を下した。ECHRの判決はドイツを含む欧州評議会(CoE)加盟47カ国で拘束力を持つことから、欧州で

被用者に義務違反の疑い、個人情報の収集は可能か

特定の被用者が勤務中に犯罪行為を行った具体的な容疑がある場合、雇用主は真相を解明するために被用者のプライベートな個人情報を収集し、解雇などの処分を下すことができる。これは連邦データ保護法(BDSG)32条1項に記されたル

嫌疑解雇のハードル高く

被用者が犯罪行為ないし重大な義務違反を行ったことがほぼ間違いない場合、雇用主は当該被用者を即時解雇できる。これは最高裁の連邦労働裁判所(BAG)の判例に基づくルールであり、確実性が極めて高い嫌疑は即時解雇の根拠となる「重

育休手当の算出基準に有給休暇手当は含まれるか

育児休暇を取得した人は月1,800ユーロを上限に出生前1年間の平均手取り収入の67%を最大1年間、受給できる。これは育児休暇法(BEEG)に定められたルールで、夫婦(ないし非婚カップル)が2人とも育児休暇を取る場合には、

商工会議所の加入・会費義務は合憲

ドイツで商工業を営む企業や個人は地元の商工会議所(IHK)に加入しなければならない。これは商工会議所法(IHKG)に定められた決まりであり、会員は一部の例外を除いて会費納入も義務づけられている。IHKの恩恵を直接的に感じ

職場のパソコンの一律監視は違法

職場のパソコンを利用してどの従業員がいつどんなサイトにアクセスしたか、あるいはどんなメールのやり取りをしたかを監視することは、日本の企業ではしばしば行われている。だが、ドイツで同様の措置を取ると人権侵害に当たるので注意が

ドイツの共同決定権はEU法違反か

ドイツの大手企業の被用者のうち国内で勤務する者は、企業の意志を経営側と共同で決定する権利(共同決定権、Mitbestimmungsrecht)の1つとして、被用者の代表を従業員の選挙で監査役会(Aufsichtsrat)

探偵を使った従業員の監視には妥当な根拠が必要

探偵を使って従業員を監視することは必ずしも違法ではない。例えば従業員が仮病で会社を休んでいる疑いを示す具体的な根拠がある場合は、これに当たる。だが、妥当な根拠がないにもかかわらず監視を行うと、当該従業員に損害賠償の請求権

パイロット65歳定年は不当な差別か

65歳以上のパイロット免許保有者は商業輸送用の航空機でパイロットとして業務につくことができない。これは欧州連合(EU)委員会規則(EU)No 1178/2011に記された規則である。パイロットの活動に年齢制限を設けたこの

解雇絡みの重度の障害者認定ルールに例外あり

重度の障害者の解雇のハードルは高い。障害者は不当な差別に遭いやすいためで、第9社会法典(SGB Ⅸ)85条には障害者を解雇する際は障害者社会統合局(Integrationsamt)の承認を得なければならないと明記されてい

「公正な裁量」に基づかない転勤命令の拒否は妥当か

労働契約や社内・労使協定、法律に特別な規定がない限り雇用主は被用者の勤務の内容、場所、時間を「公正な裁量(billiges Ermessen)」に従って決定できる。これは営業令(GewO)106条第1文に記されたルールで

事業所委にスマホ利用の請求権はあるか

従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)の活動に必要な情報・通信機器は、雇用主が提供しなければならない。これは事業所体制法(BetrVG)40条2項に明記されたルールであり、パソコンとインターネッ

謀略を働いた被用者の即時解雇は妥当

謀略を働いた被用者を即時解雇することは妥当だ――。そんな判断を最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が1日の判決(訴訟番号:6 AZR 720/15)で示したので、ここで取り上げてみる。 裁判は業界団体の事務局長が同団体を相手

不用意な刑事告発で解雇は妥当

勤務先に対し不用意な告発を行った被用者を解雇することは妥当――。そんな判断を最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が昨年12月の判決(訴訟番号:2 AZR 42/16)で下したので、ここで取り上げてみる。 裁判は単科大学で労働

人事計画に関する事業所委の情報請求権で最高裁判決

雇用主は従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)に対し、人事計画に関する情報を適宜かつ包括的に提供するとともに、人事措置について同委と協議しなければならない。これは事業所体制法(BetrVG)92条1

ナチ式敬礼で同僚を侮蔑、解雇は妥当

右手を斜め前にまっすぐ挙げて挨拶するナチ式敬礼で同僚を侮蔑する行為は即時解雇に値する――。ハンブルク労働裁判所が昨年11月の判決(訴訟番号:12 Ca 348/15)でそんな判断を示したので、ここで取り上げてみる。 裁判

ゲルベシャイン提出の社内ルールで最高裁が判断

病気で4日以上、仕事を休む場合、被用者は通称“ゲルベシャイン”と呼ばれる医師の「労働不能証明書(Arbeitsunfähigkeitsbescheinigung=AU)」を遅くとも病休4日目に雇用主に提出しなければならな

重大義務違反の事業所委員解任で最高裁判決

従業員の代表である事業所委員が重大な義務違反を行った場合、雇用主や労組、事業所委員会は当該委員の解任を労働裁判所に申請できる。これは事業所体制法(BetrVG)23条1項に記されたルールである。このルールを巡る係争で最高

試用期間中の解雇予告期間、労使協定がある場合は注意を

試用期間中は労働契約を2週間前の予告で解除できる。これは民法典(BGB)622条3項に記されたルールである。ただし同4項には、労働組合との協定で特別な取り決めがある場合は予告期間を延長ないし短縮できるとも記されている。こ

問題社員の解雇を要求する事業所委の権利で最高裁判決

人種差別や排外的な言動を繰り返し職場の環境を著しく損なう従業員がいる場合、従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)は当該同僚の解雇ないし異動を雇用主に対し要求できる。これは事業所体制法(BetrVG)

退職後の競業禁止ルールで最高裁判決

雇用主は被用者との間で、退職後に競合企業で勤務することなどを禁じる取り決めを行うことができる。これは「競業禁止(Wettbewerbsverbot)」と呼ばれるルールの1つで、営業令(GewO)110条に記されている。そ

スカーフ着用禁止は不当な宗教差別か

イスラム教徒の女性の多くは宗教上の理由からスカーフ(ヒジャーブ)を着用している。では、企業が社員のスカーフ着用を禁止することは不当な宗教差別に当たるのだろうか。この問題をめぐる2つの裁判で欧州連合(EU)の欧州司法裁判所

社用車の燃料費が所得税控除の対象に

社用車を私的に利用することは雇用主からの非金銭的な便宜とみなされ、課税所得に加算される。これは所得税法(EStG)に基づくルールで、加算方法は(1)車両のカタログ記載価格の1%を毎月の課税所得に上乗せする(2)運行記録を

「組織内での業務経験を外部経験より高く評価」は違法か

企業や公的機関が自らの組織内での業務経験を外部の組織での経験よりも高く評価することは、欧州連合(EU)内での自由な移動を認めるEUの基本原則に違反するのだろうか。この問題をめぐる係争でドイツの最高裁である連邦労働裁判所(

後妻の遺族年金受給権で最高裁判決

遺族年金の受給権者を被用者の「現在の妻」に制限する労使の契約は不当な差別に当たり無効なのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が2月21日の判決(訴訟番号:3 AZR 297/15)で判断を示し

被用者の競業禁止ルールで判決

被用者が勤務先の企業と競合する活動を行うことは禁じられている。これは商法典(HGB)60条から導き出されたルール(競業禁止=Wettbewerbsverbot)であり、雇用主は違反者を解雇できる。このルールをめぐる係争で

配達業務で駐車違反、反則金の企業引き受けは賃金か

運送会社の運転手が荷物の配達中に駐車違反を行うことは珍しくない。駐車可能なスペースが配達先の近くにないことはよくあるためだ。正規の駐車スペースを探して荷物を届けていたのでは時間の無駄になることもあり、雇用主が反則金の支払

裁判審理で雇用主を誹謗、解雇は妥当か

裁判の審理中に雇用主を誹謗した被用者を雇用主は解雇できるのだろうか。それともそうした発言は言論の自由とされ、解雇理由とすることができないのだろうか。この問題をめぐる係争で連邦憲法裁判所(BVerfG)が昨年11月に判断を

差別の「間接証拠」で最高裁が判断基準

差別をめぐる係争で差別を受けたと主張する側が差別の「間接証拠(Indizien)」を示した場合、相手側は差別がなかったことの証明を義務づけられる。これは一般平等待遇法(AGG)22条に記されたルールであり、相手方が証明で

勤務間インターバル規制で最高裁判決

被用者は一日の勤務時間の終了後、少なくとも11時間は勤務することができない。これは労働時間法(ArbZG)5条1項に記されたルール(勤務間インターバル規制)である。このルールをめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)

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