欧州自動車産業情報、メーカーの動向、最新技術の情報を配信

2014/5/23

総合 – 自動車産業ニュース

トラック設計変更の新ルール導入先送りか、スウェーデンと仏の反対で

この記事の要約

欧州連合(EU)では現在、重量物運搬車のデザインに関する規制の見直しが進められているが、自国に有力トラックメーカーを擁するフランスとスウェーデンの強い働きかけで、新ルールの導入時期が当初の計画より10年遅れる可能性が出て […]

欧州連合(EU)では現在、重量物運搬車のデザインに関する規制の見直しが進められているが、自国に有力トラックメーカーを擁するフランスとスウェーデンの強い働きかけで、新ルールの導入時期が当初の計画より10年遅れる可能性が出てきた。英フィナンシャル・タイムズ(FT)が入手した資料によると、EU加盟国は6月5日の閣僚理事会で採決を予定しており、2025年までに空気力学に基づいた流線型のデザインを認める新ルールの導入で合意する公算が大きいという。

EU市場で販売されるトラックはすべて、1996年に制定された重量物運搬車に関する規制に基づいて設計されており、域内では車体全体が「四角い」トラックが走行している。欧州委は昨年4月、トラックの安全性と環境性能の向上を目的に、車体のフロント部に丸みをもたせたり、後部を流線型にするなど、空気力学的な効率性を重視したデザインを認めるルールの導入を提案した。欧州委によると、空気抵抗を減らしたデザインのトラックは従来型のトラックに比べて燃費効率が向上し、温室効果ガスの排出量を最大で10%削減することが可能。年間の走行距離が10万キロのトラックの場合、年間5,000ユーロの燃料費を節約できるという。さらに運転席の視野が広がることで、歩行者や自転車をはねる危険性が低くなり、年間の死者数を300人~500人減らすことができるとみている。

規制の見直しが進められるなか、スウェーデンの大手自動車メーカー、ボルボの商用車部門ボルボ・トラックスと、同じくボルボ傘下の仏ルノートラックは最近、現行ルールに基づいて設計されたトラックの新モデルを投入した。ボルボはFTが入手した文書で、「車体のデザイン変更は極めて複雑でコストがかかるうえ、トラックの製品サイクルは15年から20年と長い」ため、新ルールはメーカー側の準備期間を考慮して「適切なタイミング」で導入されなければならないと指摘。「当社は2025年までの新ルール導入を支持しており、この考えをすべての利害関係者に伝えた」と説明している。

FTによると、EU加盟国のうちドイツ、デンマーク、アイルランドなどはできるだけ早い時期にトラックのデザイン変更を認めるべきだとの立場で、新ルール導入に難色を示すスウェーデンやフランスとの間で綱引きが続いている。

COMPANY |
CATEGORY |
KEYWORDS |