2010/5/3

産業・貿易

偽造医薬品の規制案、欧州議会の委員会が採択

この記事の要約

欧州議会の環境・公衆衛生・食品安全委員会は4月27日、偽造医薬品の流通防止を目的とする規制案を賛成多数で採択した。医薬品の製造から消費者の手に渡るまでの全過程を追跡できるようにするため、EU域内で販売される医薬品にシリア […]

欧州議会の環境・公衆衛生・食品安全委員会は4月27日、偽造医薬品の流通防止を目的とする規制案を賛成多数で採択した。医薬品の製造から消費者の手に渡るまでの全過程を追跡できるようにするため、EU域内で販売される医薬品にシリアル番号やバーコードなどの表示を義務付けることや、インターネットでの医薬品販売を認可制にすることなどを柱とする内容。7月の欧州議会本会議で採決を行う。 

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EU市場で販売される医薬品のうち偽造品の占める割合は1%程度だが、域内に流入する偽造医薬品は年々増加しており、市場規模は年間105億ユーロに上るとされる。こうしたなかで欧州委員会は2008年12月、医薬品の製造元にバーコードなどの表示を義務付けることや、流通過程で中味が偽造医薬品にすり替えられることのないよう、卸業者や輸入業者に対してパッケージの再包装を厳しく制限することなどを盛り込んだ規制案を打ち出した。

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欧州議会の委員会の審議では、インターネットでの医薬品販売が最大の焦点となった。欧州委は加盟国がそれぞれ監視体制を強化して合法的に流通する仕組みを整える必要があると指摘するにとどめ、共通ルールの導入を見送る方針を示したのに対し、議会側はインターネットでの医薬品販売に認可制を導入してEUレベルで規制すべきだとの見解で一致。認可を取得した業者にウェブサイトへのEUマークの表示を義務付けるほか、各国当局が管理する医薬品販売業者のリストやEUのデータベースに登録することなどを盛り込んだ法案を全会一致で採択した。

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一方、シリアル番号やバーコードなどの「安全性表示」に関しては、原則として処方薬を表示義務の対象とし(ジェネリック薬については欧州委の判断で免除の余地)、新ルール導入から4年後に処方薬以外の医薬品に対象を拡大すべきか欧州委が判断することなどが盛り込まれている。

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