2010/7/26

環境・通信・その他

交通事故死10年で半減へ、欧州委が道路安全プログラム発表

この記事の要約

欧州委員会は20日、向こう10年間にEU域内の交通事故による死亡者を半分に減らすための対策をまとめた「道路安全プログラム 2011-2020」を発表した。EUは2001年の段階で同じ目標を掲げ、これまで多くの対策を講じて […]

欧州委員会は20日、向こう10年間にEU域内の交通事故による死亡者を半分に減らすための対策をまとめた「道路安全プログラム 2011-2020」を発表した。EUは2001年の段階で同じ目標を掲げ、これまで多くの対策を講じてきたが、09年の死者数は約3万5,000人と、10年前に比べて4割以下の減少にとどまっている。このため自動車の安全基準を強化するほか、交通取り締まりの強化やドライバーに対する教育の拡充などを含め、EU全体でさらに取り組みを強化して死者半減の目標達成を目指す。

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欧州委によると、過去10年間にEU内での交通事故による死者数は人口100万人当たり113人から69人に減少し、ラトビアやスペインなどでは減少幅が50%を超えた。しかし、英国、スウェーデン、オランダでは100万人当たりの死者数が40人以下となったのに対し、ギリシャとルーマニアでは130人、ポーランドとブルガリアでも120人前後と国によってばらつきが大きく、EU全体では10年前に比べて36%の減少にとどまっている。また、脳や脊髄の損傷など生涯にわたる重度の障害を負うケースは死亡事故の4倍、重傷および軽傷事故はそれぞれ10倍、40倍に上る。

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20年までの新たな安全プログラムは1)自動車の安全性向上2)安全な道路インフラの拡充3)車両・交通システムの安全テクノロジー4)自動車免許および教習制度の見直し5)取り締まり強化6)交通事故による負傷者数の目標設定7)自動二輪車に対する規制――の7分野を戦略的な柱と位置づけ、それぞれ具体策を打ち出している。

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自動車の安全性に関しては、すべての車両に対する電子制御による横滑り防止装置(ESC)の搭載義務化、バスやトラックに対する車線逸脱警告(LDW)システムおよび自動緊急ブレーキシステム(AEBS)の搭載義務化、電気自動車の安全性確保に向けた技術基準の策定などが盛り込まれている。「スマートテクノロジー」と呼ばれる車両・交通システムの安全技術に関しては、無線通信を利用した自動車事故自動通報システム 「eコール」の導入促進や、自動車同士あるいは自動車と管制センターの間でさまざまな情報をリアルタイムで交換できる通信システムの構築などが柱となる。さらに欧州委は交通事故の負傷者を大幅に減らすことを向こう10年間の優先課題と位置付け、重傷と軽傷の定義を明確にしてEU全体の数値目標を設定する方針を打ち出している。このほか教習所指導員の認定基準を域内で統一することや、実地試験終了後に「仮免許期間」を設けて安全運転の実技教育を拡充することなどを今後の検討課題として挙げている。

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