2011/2/14

産業・貿易

EUが研究への資金支援改善へ、現行制度の見直し提案

この記事の要約

欧州委員会は9日、EUの科学・技術革新に対する資金支援体制の改善に向けて「共通戦略枠組み」を提案する文書を公表し、関係者への諮問を開始した。2007~2013年を対象とする現行の第7次研究枠組み計画(FP7)への参加を簡 […]

欧州委員会は9日、EUの科学・技術革新に対する資金支援体制の改善に向けて「共通戦略枠組み」を提案する文書を公表し、関係者への諮問を開始した。2007~2013年を対象とする現行の第7次研究枠組み計画(FP7)への参加を簡素化するなどして、科学的・経済的な影響力を強化して支援効果を高めるのが狙い。

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今回の提案文書は、FP7のほか競争力・技術革新フレームワーク・プログラム(CIP)や欧州技術工科大学(EIT)を対象にしている。FP7の支援額は7年間で総額530億ユーロに上り、さらにCIPにより同期間で36億ユーロが投じられている。しかし申請手続きが面倒なことや助成金の利用に対する会計処理が煩雑なことなどが課題となっている。

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このため「共通戦略枠組み」では、支援目的を明確にすること、EUの助成金をもっと魅力的にして申請しやすくすること、助成金利用の会計処理を簡素化することを提案している。目的についてはEUを世界的な科学拠点とすることや競争力の強化に加え、気候変動や資源の有効利用、エネルギーと食の安定確保、健康・高齢化などの課題への取り組みを掲げる。また助成金の利用では、ITツールなどを使ってプログラムへの参加に対する助言や支援を1カ所で対応できるようにし、基礎研究から応用研究、産学連携までを対象とする簡素化した資金支援方法の導入などを挙げている。

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このほか文書では、加盟各国の研究支援の資金を共同で利用することや公共調達の促進に向けたEUの資金支援、欧州研究評議会などの役割強化、EUの資金支援の効果を測定する業績指標の策定などを提示している。

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