2011/2/14

総合 –EUウオッチャー

欧州委がEU機関に経費削減指示、緊縮推進の加盟国に同調

この記事の要約

欧州委員会がEUの主要機関に経費削減を求めていることが、このほど明らかになった。財政再建に取り組む加盟各国が厳しい緊縮政策をとっている中、EUも歩調を合わせる必要があると判断したもので、欧州委自体も率先して経費を切り詰め […]

欧州委員会がEUの主要機関に経費削減を求めていることが、このほど明らかになった。財政再建に取り組む加盟各国が厳しい緊縮政策をとっている中、EUも歩調を合わせる必要があると判断したもので、欧州委自体も率先して経費を切り詰める方針だ。

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AFP通信が8日報じたところによると、欧州委のヤヌシュ・レヴァンドフスキ委員(予算担当)は欧州議会、欧州司法裁判所などEU機関に3日付で書簡を送付。このなかで、加盟国が財政悪化で緊縮政策を迫られていることに触れ、「(EUは)こうした流れを無視するわけにはいかない」として、経費削減に取り組むよう指示した。情報技術(IT)関連のコストから会議・ミーティング、刊行物発行などにかかる費用、さらには海外渡航、視察の経費削減まで、異例の細かい指示となっている。

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海外渡航に関しては、EUの閣僚にあたる27人の欧州委員だけで、2009年に外遊、視察などに費やした金額は400万ユーロ(約4億5,000万円)に達している。書簡では、欧州委がこうしたコストの節減などにより、来年度予算の行政運営費の増加率を前年より1%削減することを約束し、諸機関に協力を呼びかけている。

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EU の2011年予算では、約83億ユーロの行政運営費が計上されている。予算全体の5.7%に相当する。

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EU予算は加盟国が拠出する分担金が最大の財源。赤字削減に苦慮する各国としては、分担金は大きな負担だが、今年度EU予算は前年比2.9%増と膨らんだままだ。英国など分担金の負担が大きい国からは、予算増を凍結するよう求める声が強まっており、今回の欧州委の動きにはこうした厳しい視線をかわす狙いもあるもようだ。

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