2011/6/13

環境・通信・その他

環境対策でトラックに新通行料、欧州議会が指令採択

この記事の要約

欧州議会は7日の本会議で、EU域内の幹線道路を通行する大型商用車に対する課金ルールを定めた「ユーロビニエット指令」の改正案を賛成多数で可決した。トラック輸送の増加に伴う渋滞や環境の悪化に歯止めをかけることを目的として、大 […]

欧州議会は7日の本会議で、EU域内の幹線道路を通行する大型商用車に対する課金ルールを定めた「ユーロビニエット指令」の改正案を賛成多数で可決した。トラック輸送の増加に伴う渋滞や環境の悪化に歯止めをかけることを目的として、大型トラックなどを対象に、排ガスによる大気汚染や騒音対策のためのコスト負担を利用者に求める課金システムを導入する内容。

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1999年に採択されたユーロビニエット指令は、加盟国が道路インフラの整備費用を確保するため、域内の主要都市を結ぶ「欧州横断交通ネットワーク(TEN-T)」を通行する総重量3.5トン以上の商用車を対象に、走行距離や走行時間に応じて通行料を課すことを認めている。対象車両に課金するか否かは加盟国の判断によるが、課金する場合は同指令の枠組みに沿って実施しなければならない。

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今回可決された改正案によると、TEN-T以外の幹線道路も含む域内の有料道路およそ3万キロを走行する3.5トン以上のトラックなどは、道路の維持管理を目的とした従来からの通行料に加え、新たに環境対策のための通行料が課される。現行制度と同様、課金するかどうかは加盟国に判断が委ねられ、渋滞緩和に向けてピーク時に割増料金を、オフピーク時には割引料金をそれぞれ設定するなど、料金水準も加盟国が各々の実情に合わせて決めることができる。なお、割増料金の上限は通常料金の175%までとし、課金対象となるのはピーク時の5時間までとされている。

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利用者側の負担は道路や車両タイプによって異なるものの、現在は走行1キロメートル当たり概ね15-25セント程度だが、指令改正後には平均3-4セント上乗せされる見通し。徴収された通行料は車の環境技術や次世代輸送インフラなどの研究開発に充てられる。なお、低排出車への優遇措置として、ユーロ5対応エンジン搭載車は2014年1月1日まで、ユーロ6対応エンジン搭載車は18年1月まで、新ルールの適用対象から除外される。

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改正指令は、夏前に閣僚理事会の承認を経て施行される見通し。各加盟国は2年以内に指令に対応した国内法の整備が求められる。

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