2011/9/5

競争法

ドイツ取引所とNYSEの合併審査、欧州委が追加情報収集

この記事の要約

欧州委員会はドイツ取引所とNYSEユーロネクストの合併計画に関する詳細調査の一環として、両取引所の主要顧客と店頭デリバティブ(金融派生商品)取引業者を対象に、このほど2回目のアンケートを実施した。統合後の新会社は欧州のデ […]

欧州委員会はドイツ取引所とNYSEユーロネクストの合併計画に関する詳細調査の一環として、両取引所の主要顧客と店頭デリバティブ(金融派生商品)取引業者を対象に、このほど2回目のアンケートを実施した。統合後の新会社は欧州のデリバティブ取引市場で90%以上のシェアを握るため、計画が実現した場合の市場への影響について顧客と競合事業者の双方からさらに細かく意見を聞くのが狙い。アンケートの回答期限は9月1日となっており、欧州委は寄せられた意見を踏まえて12月13日までに合併の可否を最終判断する。

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ロイター通信などによると、欧州委は8月下旬、欧米の有力銀行や証券会社をはじめとするドイツ取引所およびNYSEユーロネクストの主な顧客企業と、店頭デリバティブ取引を展開するチャイエックス・ヨーロッパ、BATSグローバル・マーケッツ、ザ・オーダー・マシーンなどに対し、およそ100項目から成る質問表を送付した。今回の調査では、取引所と店頭取引市場の間でデリバティブ取引にかかる手数料にどの程度の違いがあるか、取引所と清算機関の地理的条件などに基づく制約によって競争が妨げられていないか、などに主眼が置かれている。

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フランクフルト証券取引所を傘下に持つドイツ取引所とニューヨーク証券取引所などを運営するNYSEユーロネクストは、今年2月に合併で合意した。ドイツ取引所は世界最大級の先物取引所ユーレックスを、NYSEユーロネクストはロンドン国際金融先物取引所(LIFFE)を傘下に持っており、合併後の新会社は欧州のデリバティブ取引や清算決済取引などの分野で圧倒的な最大手となる。欧州委は6月に開始した初期調査の結果、特にデリバティブ市場で新規参入が妨げられる恐れがあると判断。8月初めから第2段階の調査を進めている。

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