2011/9/5

競争法

仏政府とAFP通信の契約に疑義、欧州委が調査に着手か

この記事の要約

欧州委員会は、仏政府が同国の大手通信社AFPに支払った多額の契約料について、不公正な国家補助にあたる可能性があるとして調査を進めているもようだ。AP通信によると、仏政府は各省庁や政府機関へのニュース配信料としてAFPに年 […]

欧州委員会は、仏政府が同国の大手通信社AFPに支払った多額の契約料について、不公正な国家補助にあたる可能性があるとして調査を進めているもようだ。AP通信によると、仏政府は各省庁や政府機関へのニュース配信料としてAFPに年間1億1,165万ユーロを支払っているが、欧州委は通常の契約より高く設定された利用料金が実質的な補助金にあたるとの見方を強めている。欧州委は仏政府に詳細情報の提供を求めており、最終的に違法な補助金と認定された場合、AFPは一部料金の返還を命じられることになる。

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APが入手した欧州委から仏政府への8月22日付書簡によると、仏政府がAFPに支払っている年間契約料は同社の売上高全体の40%を占める。一方、EUがAFPと結んでいる契約では、ニュース配信サービスの利用料金は5年で3億2,337万ユーロとなっている。さらに独政府が同国のドイツ通信社(dpa)およびdapd通信に支払っている年間契約料は375万ユーロにとどまる。欧州委はdapdの苦情を受けて予備調査を行った結果、仏政府からAFPへの支払いは事実上の国家補助にあたり、他社の参入を阻害している可能性があると判断。仏側にAFPと主要顧客との契約状況などに関する情報提供を要請した。

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各国政府は伝統的に、多額の契約料を支払って自国の通信社が提供するニュース配信サービスを利用している。AP通信は事情に詳しい関係者の話として、欧州委は各国政府が自国の通信社を優遇するような契約を結んでいないか検証するため、フランス以外のEU加盟国にも情報提供を求める書簡を送ったと報じている。

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