2011/11/28

産業・貿易

複合ワクチンの特許は延長可能=欧州裁

この記事の要約

欧州司法裁判所は24日、英製薬会社メディヴァの複合ワクチンに特許存続期間を延長する「補足保護証明(SPC)」の付与が認められるとの判断を示した。欧州特許条約には特許存続期間の延長を明確に規定する条項がないため、医薬品に関 […]

欧州司法裁判所は24日、英製薬会社メディヴァの複合ワクチンに特許存続期間を延長する「補足保護証明(SPC)」の付与が認められるとの判断を示した。欧州特許条約には特許存続期間の延長を明確に規定する条項がないため、医薬品に関してはSPCが実質的な特許期間延長に相当する制度となっているが、SPCの保護範囲や付与条件をめぐる解釈には各国の特許当局間でばらつきがあり、とりわけ複数の有効成分を含む複合薬や複合ワクチンの取り扱いがしばしば問題となっている。欧州裁は今回、域内で販売承認を受けた医薬品について、基本特許の請求範囲に明記された有効成分に対してのみSPCが付与されるとの原則を明確にしたうえで、複合薬や複合ワクチンに特許請求の範囲に明記された有効成分以外の成分が含まれている場合でも、SPCの付与が認められるとの見解を示した。

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メディヴァは1990年に百日咳ワクチンの製造で特許を取得。同社は特許期限が満了する昨年4月に先立ち、新たな有効成分を加えた5種類のワクチンについて、英知的財産庁(IPO)にSPCを申請した。しかし、SPCは09年11月、これらのワクチンには特許請求の範囲に記載されていない有効成分が含まれており、SPCの付与条件を満たしていないとして申請を却下。メディヴァはIPOの決定を不服として控訴裁判所に申し立てを行い、同裁判所がEU司法裁に判断を求めていた。

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司法歳は判決で「公衆衛生の改善・向上に決定的な役割を果たす医薬品の研究・開発に十分な保護を与えることがSPC制度の基本的な目的だ」と指摘。域内で販売承認を受けた医薬品の特許存続期間延長を認めるための条件について、特許請求の範囲に明記されていない新たな有効成分にSPCを付与することはできないが、請求範囲に記載された有効成分と記載のない有効成分の両方が医薬品やワクチンに含まれている場合、SPCの付与が認められると結論づけた。

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