2011/11/28

総合 –EUウオッチャー

ハンガリーがEU・IMFに支援要請、信用不安が中東欧に波及

この記事の要約

欧州委員会は21日、ハンガリー政府がEUと国際通貨基金(IMF)に金融支援を要請したことを明らかにした。ユーロ圏の信用不安の影響で金融市場が不安定になっていることを受けたもの。欧州の債務危機が、ついに中東欧にも波及してき […]

欧州委員会は21日、ハンガリー政府がEUと国際通貨基金(IMF)に金融支援を要請したことを明らかにした。ユーロ圏の信用不安の影響で金融市場が不安定になっていることを受けたもの。欧州の債務危機が、ついに中東欧にも波及してきた。

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欧州委によると、ハンガリーが要請した支援は金融危機の「予防」を目的としたもの。詳細は不明だが、一部の報道は40億ユーロ相当の融資枠設定を求めていると伝えている。

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ハンガリーなど中東欧諸国の金融市場は、資金調達をユーロ圏に大きく頼っているが、ギリシャを発端とした信用不安で財務が悪化した圏内の銀行が融資を控えるようになっている。21日にはオーストリア中央銀行が、国内銀行に中東欧子会社への融資を抑えるよう指示した。

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こうした状況下で、同地域の金融市場では先行き不安が広がっており、とくに国内総生産(GDP)の80%近くに相当する累積債務を抱えるハンガリーからの資金流出が加速。同国通貨フォリントも急落している。

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ハンガリーの信用格付けは、あと1段階で投資適格外となる水準にあり、ユーロ圏信用不安の拡大に伴って、国債の利回りが上昇。2年物国債の利回りは9月以降に2ポイント上昇し、7.5%となっている。2012年にGDP比18%に相当する規模の国債償還を控える政府は、資金調達が難しい状況だ。このため、EUとIMFへの支援要請に踏み切った。欧州委はEU加盟国、IMFと協議して支援を検討するとしている。

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ハンガリーは、リーマンショックに端を発した金融危機で大きな打撃を受け、2008年11月にEU、IMFなどから200億ユーロの緊急融資を取り付けた。しかし、その後に発足したオルバン政権は、IMFが主導する財政再建を嫌い、2010年にIMFとの融資契約を打ち切った経緯がある。政府は来年初めの支援合意を目指しているが、前回と同じく条件として厳しい財政緊縮策を求められることになるため、協議の曲折が予想される。

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長期国債、投資適格外に

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米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは24日、ハンガリーの長期信用格付けを「Baa3」から1段階引き下げ、投資適格外の「Ba1」にしたと発表した。巨額の公的債務、景気見通しの悪化を材料としたもので、格付け見通しも「ネガティブ」とし、さらなる格下げを示唆した。

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これを受けてハンガリーの5年物国債の利回りは25日に急上昇。フォリントも対ユーロで一段と下落した。ハンガリー経済省は25日発表の声明で、格下げを「実態に即していない。我が国に対する金融攻撃だ」と痛烈に批判した。

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