2012/3/5

産業・貿易

エネルギー単一市場の国内法整備に遅れ、欧州委が8カ国に是正手続き

この記事の要約

欧州委員会は2月27日、域内エネルギー市場の自由化促進を目的としたEU指令に基づく国内法の整備が遅れているとして、域内8カ国に対する是正手続きを開始したことを明らかにした。各国は2カ月以内に欧州委の意見書に対して回答しな […]

欧州委員会は2月27日、域内エネルギー市場の自由化促進を目的としたEU指令に基づく国内法の整備が遅れているとして、域内8カ国に対する是正手続きを開始したことを明らかにした。各国は2カ月以内に欧州委の意見書に対して回答しなければならず、同委は法制化の進捗状況を分析してEU司法裁判所への提訴を含む法的措置の検討に入ると警告している。

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問題となっているのは、2009年7月に採択された域内エネルギー市場における新たな規制の枠組みとなる「エネルギー市場に関する第3次規制パッケージ」のうち、「域内電力市場の共通ルールに関する指令」と「域内ガス市場の共通ルールに関する指令」。加盟国は2つの指令に沿って11年3月3日までに国内法を制定することが義務づけられていた。欧州委によると、ブルガリア、キプロス、スペイン、ルクセンブルク、オランダ、ルーマニア、スロバキアは電気、ガスの両指令を国内法に転換する作業が完了しておらず、エストニアもガス指令に基づく法制化の手続きが遅れている。

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第3次エネルギーパッケージは2007年7月の完全自由化後も多くの国で続く独占または寡占状態を打破し、エネルギー分野における単一市場の実現を目的として制定された。生産から販売までを手がける垂直統合型の電力・ガス会社に対し、生産部門と供給部門の実質的な分離(アンバンドリング)を義務づけることが柱で、このほか各国エネルギー監視当局の権限強化や消費者の権利強化を目的とするさまざまなルールが盛り込まれている。

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なお、欧州委は昨年9月、第3次エネルギーパッケージを構成する5つの法令のうち、「天然ガス輸送網へのアクセス条件に関する規則」および「国境を超える電力取引における送電網へのアクセス条件に関する規則」に沿った国内法の整備が遅れているとして、英国、フランス、スペインなど18カ国に対する是正手続きを開始している。

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