2012/3/5

競争法

製薬2社への調査打ち切り、後発医妨害疑惑で

この記事の要約

欧州の大手製薬会社がジェネリック薬(後発医薬品)の参入を不当に阻止している疑いがあるとして調査を行なっていた欧州委員会は1日、参入を妨害した証拠がないとして、英アストラゼネカ、スイスのナイコメッドの2社に対する調査を打ち […]

欧州の大手製薬会社がジェネリック薬(後発医薬品)の参入を不当に阻止している疑いがあるとして調査を行なっていた欧州委員会は1日、参入を妨害した証拠がないとして、英アストラゼネカ、スイスのナイコメッドの2社に対する調査を打ち切ったことを明らかにした。

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欧州委は2010年11月、自社が開発した製品のジェネリック薬が出回ることを遅らせている疑いがあるとして、EU内の複数の国でアストラゼネカとナイコメッドに対する立ち入り調査を実施した。調査では、ジェネリック薬の参入を遅らせるためにリベートを支払うという「ペイ・フォー・ディレイ」と呼ばれる取引の存在が焦点となった。欧州委のコロンバニ報道官は声明で、「調査の結果、EU競争法に違反しているという結論を導き出すことができなかった」と説明。一方で、「我々はジェネリック薬参入の妨害あるいは遅延に関する問題を非常に重視しており、今回のケース以外にも製薬業界で数件の調査を行っている」と述べ、欧州委としてジェネリック薬参入をめぐる問題に今後も目を光らせていく方針を明らかにした。

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EUは大手製薬会社が結託して低価格で販売されるジェネリック薬の投入を遅らせているとして08年1月に米ファイザー、ジョンソン・エンド・ジョンソン、英グラクソ・スミスクライン、アストラゼネカ、仏サノフィ・アベンティス、独メルクなどへの立ち入り調査を実施。その結果、大手製薬会社が特許の囲い込みなどさまざまな方法でジェネリック薬の投入を遅らせているとする報告書を09年に公表し、監視を強める方針を打ち出している。

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