2012/7/23

競争法

米UPSのTNT買収計画、欧州委が本格調査に着手

この記事の要約

欧州委員会は20日、米物流大手UPSがオランダの同業TNTエクスプレスを買収する計画について、EU競争法に基づく本格調査を開始したと発表した。予備調査の結果、欧州のエクスプレス便市場でライバル関係にある両社の取引を認めた […]

欧州委員会は20日、米物流大手UPSがオランダの同業TNTエクスプレスを買収する計画について、EU競争法に基づく本格調査を開始したと発表した。予備調査の結果、欧州のエクスプレス便市場でライバル関係にある両社の取引を認めた場合、とりわけ国際小口輸送の分野で寡占化が進み、公正な競争が阻害される可能性があると判断した。欧州委は11月28日までに調査結果をまとめ、買収認可の是非を判断する。

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UPSは今年3月にTNTを約52億ユーロで買収すると発表した。TNTの買収を通じてUPSは世界的に事業基盤を強化し、欧州のエクスプレス便市場でドイツポスト傘下のDHLを抜き最大手に浮上する。欧州委は初期段階の調査で、大手による寡占化が進んでいる同分野でUPSとTNTの取引を認めた場合、世界各国に航空および陸上輸送ネットワークを持ち、集荷から配送までドアツードアの輸送サービスを提供する「インテグレーター」が両社にDHLと米フェデックスを加えた4社から3社に減ることになり、さらに市場集中度が高まると指摘。特に英国、フランス、ドイツ、オランダなどで寡占化が進む恐れがあるため、さらに詳しい市場分析が必要と判断した。最終的に両社の取引が競争阻害につながると判断した場合、UPSは一部事業の売却などの対応を迫られる可能性がある。

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欧州委のアルムニア副委員長(競争政策担当)は「小口輸送は多くの産業にとって戦略的に極めて重要なセクターだ。UPSによるTNTの買収が実現した場合でも、欧州のエクスプレス便市場で顧客が引き続き価格競争力のあるサービスを利用できるかどうかを検証する必要がある」と述べた。

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