2013/3/11

総合 –EUウオッチャー

キプロス金融支援問題が前進、月内の正式決定目指す=ユーロ圏

この記事の要約

ユーロ圏17カ国は4日の財務相会合で、金融・債務危機に陥っているキプロスが要請している金融支援の実施について、月内の決定を目指すことで一致した。キプロス政府が国内銀行のマネーロンダリング(資金洗浄)疑惑に関する外部監査に […]

ユーロ圏17カ国は4日の財務相会合で、金融・債務危機に陥っているキプロスが要請している金融支援の実施について、月内の決定を目指すことで一致した。キプロス政府が国内銀行のマネーロンダリング(資金洗浄)疑惑に関する外部監査に応じる方針を打ち出したことを受けたもの。これによって同国は金融支援の取り付けに向けて大きく前進した。

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キプロスは欧州債務危機の発端となったギリシャとの経済的関係が深く、多額のギリシャ向け債権を保有している国内銀行の経営が急速に悪化。政府も財政危機にあり、国債発行で資金を調達できない状況にある。このため、政府は昨年6月、EUに金融支援を要請した。支援総額はキプロスの国内総生産(GDP)に匹敵する総額170億ユーロに上る見通し。

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同支援をめぐっては、キプロスの銀行がロシア企業などのマネーロンダリングの受け皿となっているとの疑惑が浮上しており、ドイツ、フランスなどは金融支援の条件として同問題の対策強化を求めている。これを共産主義系の前政権が拒んだため、支援実施に関する協議は凍結状態にあった。しかし、先ごろ発足した新政権が受け入れに転じ、サリス財務相が今回の財務相会合でマネーロンダリングに関する独立機関の調査開始で合意。ユーロ圏はようやく支援実施に向けて動き出した。

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同支援に関してはマネーロンダリング問題のほか、国内銀行救済の見返りとして、銀行の債権者、預金者に一定の負担を強いるかどうかも焦点となる。キプロス政府は否定的だが、ユーロ圏はギリシャへの第2次支援に際して国債保有者に債権削減を迫った経緯があり、協議の難航も予想される。

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