2013/4/15

総合 –EUウオッチャー

ポルトガルが一層の歳出削減へ、緊縮策の違憲判断受け

この記事の要約

ポルトガルの憲法裁判所が今月5日、2013年予算に盛り込まれた緊縮策のうち、公務員の賞与削減など一部の政策について違憲判断を下したことを受け、同国のコエリョ首相は7日、財政再建計画の目標を達成するため、さらなる歳出削減を […]

ポルトガルの憲法裁判所が今月5日、2013年予算に盛り込まれた緊縮策のうち、公務員の賞与削減など一部の政策について違憲判断を下したことを受け、同国のコエリョ首相は7日、財政再建計画の目標を達成するため、さらなる歳出削減を実行すると表明した。違憲とされた総額9億-12億ユーロに上る緊縮策の代替措置として追加の増税は行わず、代わりに社会保障、公衆衛生、教育などの分野で支出を抑制する方針を示している。

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ポルトガル政府はEUや国際通貨基金(IMF)による総額780億ユーロに上る支援の条件に基づき、13年度予算に50億ユーロ超の緊縮策を盛り込んだ。予算案は昨年10月末、連立与党の賛成多数で可決されたが、憲法裁は野党などが合憲性の審査を求めていた9つの政策のうち、公務員の賞与削減、年金受給額の引き下げ、失業手当の減額など4項目を違憲と判断。政府は6日に臨時閣議を開いて対応策を協議した。

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コエリョ首相は国民向けの演説で、憲法裁の判断によってポルトガルの立場は「以前より難しいものになった」と指摘。「裁判所は追加的な増税が望ましい解決策と判断したようにみえるが、政府としてさらなる増税は容認できない」と述べ、違憲とされた緊縮策を穴埋めするため、関係省庁に対してより一段の支出削減に取り組むよう指示したことを明らかにした。同首相は一方、EUやIMFと合意した財政再建プログラムについて「すべての目標にコミットしている」と強調。「2度目の支援を回避するためあらゆる手段を講じる必要がある」と述べた。

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欧州委員会はポルトガル政府が引き続き財政再建プログラムの目標を維持する方針を表明したことを歓迎している。同委は声明で「目標からの逸脱や再交渉はポルトガル国民のこれまでの努力を無効化し、調整困難な局面が長引くことになる」と警告。継続的で断固としたプログラムの実行が「持続可能な経済成長と雇用機会の創出に向けた最善の道」であり、同時にポルトガルに対する救済融資の返済期限延長に関する決定の「前提条件」になると指摘した。

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