2013/8/19

環境・通信・その他

EU共通の通信監督機関創設を検討、単一市場構想を深化=欧州委

この記事の要約

欧州委員会の競争総局は電気通信分野における規制改革の一環として、新たにEU市場全体を監視する通信監督機関を創設するための法案づくりを進めているもようだ。欧州委はクルース委員(デジタル政策担当)の主導で早期の単一市場創設を […]

欧州委員会の競争総局は電気通信分野における規制改革の一環として、新たにEU市場全体を監視する通信監督機関を創設するための法案づくりを進めているもようだ。欧州委はクルース委員(デジタル政策担当)の主導で早期の単一市場創設を目指しているが、英フィナンシャル・タイムズ(FT)が入手した競争総局の文書によると、アルムニア副委員長(競争政策担当)は同構想をさらに一歩進め、加盟国の規制当局がそれぞれ国内市場を管轄する現行システムに代わり、EU共通の監督機関が域内の通信市場を一元的に監視する体制への移行を提案する方針という。

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FT紙によると、競争総局は通信分野の単一市場が実現した場合、域内総生産(GDP)が1,100億ユーロ拡大するとの予測を示し、単一市場の創設を「全面的に支持する」とした上で、EUレベルでの周波数管理や携帯電話のローミング料金の段階的廃止などを柱とするクルース委員の提唱は「野心に欠ける次善の策」と形容。国ごとに分かれた規制当局の一体化や、国境を越えた業界再編を妨げる障壁の除去など、一段の規制改革を進める必要があると指摘し、EU全体をカバーする規制機関の創設が「真の単一市場創設を実現するうえで最も効果的な方法だ」と強調している。

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アルムニア副委員長が提唱する大胆な規制改革は各国当局からさまざまな権限を奪い、周波数オークションによる莫大な収入の道を閉ざすことになるため、加盟国からの反発は必至だ。英通信監督機関Ofcomの広報担当はロイター通信の取材に対し、「欧州委のクルース副委員長はEU全体をカバーする通信監督機関は必要ないとの考えを明確に表明している」と述べ、規制当局の一本化に懐疑的な見方を示している。

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