2013/10/21

産業・貿易

EUとカナダがFTA締結で基本合意、一部農産品に関税割当制導入へ

この記事の要約

EUとカナダは18日、自由貿易協定(FTA)を締結することで基本合意した。EUにとって主要8カ国(G8)とのFTAはカナダが初めて。協定が発効すれば99%以上の貿易品目で関税が撤廃され、EU・カナダ間の貿易額は20%以上 […]

EUとカナダは18日、自由貿易協定(FTA)を締結することで基本合意した。EUにとって主要8カ国(G8)とのFTAはカナダが初めて。協定が発効すれば99%以上の貿易品目で関税が撤廃され、EU・カナダ間の貿易額は20%以上拡大するとみられている。EUはカナダとの合意内容を踏まえ、農業や政府調達などの分野で共通点が多い米国とのFTA交渉を加速させるものとみられる。

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EUにとってカナダは12番目、カナダにとってEUは米国に次ぐ2番目の貿易相手。双方は2009年10月にFTA交渉を開始したが、農業分野における市場アクセスなどをめぐって調整が難航していた。EUにとってより重要な貿易相手国である米国や日本とのFTAに注目が集まるなか、今年に入りカナダとの交渉はこう着状態にあったが、今回、欧州委員会のバローゾ委員長とカナダのハーパー首相がブリュッセルで会談し、政治的合意に達した。

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欧州委はFTAによってEU・カナダ間の貿易額が23%(260億ユーロ)増加し、EUの域内総生産(GDP)も年間120億ユーロ拡大すると試算している。バローゾ委員長は会見で「北米市場に強固な足場を築く土台となり、欧州経済の成長と雇用創出につながる」と強調した。双方は今後、最終合意に向けて「技術的な作業」(同委員長)を進め、EU側は加盟国と欧州議会、カナダも国内での批准手続きを経て協定が発効する。

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最大の焦点だった農産品に関しては、カナダが92.8%、EUは93.5%の品目で関税を撤廃したうえで、重要品目のうちカナダはチーズなどの乳製品、EUは牛肉、豚肉、トウモロコシの輸入に割当制度を適用し、輸入量が一定の水準を超えた場合に関税を課す。このほかカナダ側は州や自治体レベルでも政府調達で市場開放を進めることや、農産品などを対象とする地理的表示(GI)の保護などで合意した。

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