欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/9/14

EU情報

欧州議会がクローン動物食品利用の規制案可決、子孫由来食品も輸入禁止に

この記事の要約

欧州議会は8日の本会議で、クローン動物およびクローン動物由来食品の生産・流通に関する規制案の修正案を賛成多数で可決した。欧州委員会は家畜へのクローン技術の使用と、クローン動物およびクローン動物由来食品の輸入・販売の禁止を […]

欧州議会は8日の本会議で、クローン動物およびクローン動物由来食品の生産・流通に関する規制案の修正案を賛成多数で可決した。欧州委員会は家畜へのクローン技術の使用と、クローン動物およびクローン動物由来食品の輸入・販売の禁止を提案しているのに対し、修正案はクローン動物の子孫に由来する食品についても輸入・販売を全面的に禁止するという内容。今後、閣僚理事会で規制案について検討する。

クローン動物とその由来食品に関する規制は、新たな手法や技術によって生産された食品の安全な流通を目的として、1997年に制定された「新規食品に関する規則」の改正に向けた議論のなかでクローズアップされた。欧州委は遺伝子組み換え、クローン、ナノテクなどの技術革新を背景に、高い水準の安全性を確保しながら消費者に新たな選択肢を提供するため、2008年1月に認可手続きの一元化などを柱とする新規食品規則の改正案を打ち出した。

改正案をめぐる議論で欧州議会はクローン動物だけでなく、その子孫から生産された食品についてもトレーサビリティが確立されない限り域内での流通を認めるべきではないと主張した。これに対し、加盟国は第3国から輸入された食品がクローン動物の子孫に由来するものかどうかチェックする有効な手段はなく、米国などとの貿易摩擦を招きかねないと反論。改正案は最終的に廃案となったため、欧州委はクローン動物に関する規制を切り離し、13年12月に「新規食品に関する規則案」と「クローン動物由来食品に関する指令案」を提出。これまで欧州議会と閣僚理事会で審議が続いている。

修正案によると、クローン技術で生まれた動物とその由来食品に加え、クローン動物の子孫に由来する食品、さらにクローン動物の胚や精子も域内への輸入が禁止される。また、域外の多くの国で家畜にクローン技術が施されている現状を踏まえ、第3国から家畜を輸入する際は、クローン技術で生まれた家畜やその子孫でないことを示す証明書の添付が義務付けられる。さらに、クローン動物とその由来食品に関する「指令」を、加盟国による国内法への置き換えを必要としない「規則」に格上げすることが修正案に盛り込まれている。